ウォーキングは体にいい。それはたしかに事実です。でも実は「ただ歩くだけ」では効果が出にくいことをご存じでしょうか。同じ歩くなら「科学的な歩き方」で「最大効果」を手に入れる。ここを目指したいものです。そこで本連載では論文マニアとしても有名な大谷義夫先生(医師)が、82の論文世界の最新エビデンスをもとに正しく効果的な歩き方を書いた本『1日1万歩を続けなさい』から、今日から役立つ「歩き方のコツ」をお伝えします。

【医者が教える】鼻毛は抜かないほうがいい
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あなたは「口呼吸」? 「鼻呼吸」?

 有酸素運動のウォーキングは、鼻呼吸がおすすめです。

 なぜなら鼻呼吸だと口より上の「上咽頭」が開くことから、たくさん空気を吸えて深い呼吸になる上に、口呼吸では喉が乾燥して感染症にかかりやすくなるからです。

 たとえ森林や公園であったとしても、大気中には何かしらの異物はあるものです。

 花粉やホコリの問題もあるでしょう。

 そこで「鼻毛」の出番です。

鼻毛の役割とは?

 鼻呼吸をすれば鼻毛が重要なフィルターとなって異物を取り除いてくれますし、鼻毛を通った空気が温まり湿ることでウイルス感染の予防にもなるのです。

 そんな大活躍の鼻毛ですが、その効果を証明する次のような論文を見つけたので、ご紹介したいと思います。

鼻毛が濃いと喘息リスクが低下する

 トルコにある大学の研究チームは、アレルギー性鼻炎を持つ男女230名を、鼻毛の密度によって「高・中・低」に分け、「鼻毛の密度」と「気管支喘息」の関係を調べました。

 するとなんと高密度の鼻毛を持つ人たちは喘息リスクが低下していたことがわかったのです。

 つまり鼻毛が濃ければ濃いほど、異物となるアレルゲンが食い止められていたというわけです。

鼻毛は切る? 抜く?

 ウォーキングは心肺機能にとてもいいと言われていますが、ウォーキングを行う道は、空気のいい道ばかりを選べるとは限りません。

 ですから長く健康に歩いていただくためにも、せっかくの天然高密度フィルターとなる鼻毛を、お手入れのし過ぎで減らし過ぎてはいけません。

鼻毛は抜かず切りすぎず

 ちなみにご紹介した論文は鼻毛の「密度」に関するものなので、鼻毛は極力抜かず切り過ぎず、大切にしていただければと思います。

※本書には、ウォーキングにまつわるさまざまなエビデンスと、具体的かつ効果的な歩き方が紹介されています。