本日のテーマは、「突然の“無茶ぶり”を軽やかにかわす防御策」です。
超ミニマル・ライフとは、「どうでもいいことに注ぐ労力・お金・時間を最小化して、あなたの可能性を最大化する」ための合理的な人生戦略のこと。四角大輔さんの新刊『超ミニマル・ライフ』では、「Live Small, Dream Big──贅沢やムダを省いて超効率化して得る、時間・エネルギー・資金を人生の夢に投資する」ための全技法が書かれてあります。本書より、上司からの「無茶ぶり」にどう対処したらいいかについてご紹介します。
「安易なYES」の積み重ねがあなたの「時間(命)」を削り取り、「本当にやりたいこと」のためのエネルギーを奪い去る
「あ、そうだ。これちょっとお願いできないかな?」
よく耳にする言葉だ。こういうセリフが伴う依頼は「無茶ぶり」であることが多い。
わかっていても、断るにはそれなりのスキルと勇気を要する。日本人の多くが「感じ悪いやつだと思われたくないし」と、つい受けてしまう。
そうやって少しずつ「安請け合い癖」が染みつき、気付かないうちに人生を蝕んでいく。
そんな「安易なYES」の積み重ねがあなたの「時間(命)」を削り取り、「本当にやりたいこと」のためのエネルギーを奪い去ってしまうからだ。
「断る気まずさは一瞬、安請け合いは一生」
この原理原則を心に刻んでほしい。こう考えると、どちらを選ぶべきかはわかるだろう。
では、どうやって断ればいいのか。
メールを活用する方法はこれまでの連載で解説済みなので、ここではより難易度の高い、口頭での「お断り術」を説いていく。ポイントは文章と同じだからご心配なく。
わかりやすく伝えるために、「あなたと上司との会話」という想定で、ポイントを押さえながら解説してみたい。
会話の流れとポイントさえ理解できれば、あらゆる職場、どんな場面でも応用可能だ。
いい加減な上司と懸命な部下
(Point①面倒そうな態度をせず、あえて前向きな姿勢で)
あなた「お疲れさまです。締め切りはどんな感じですか?」
(Point②内容を聞く前に、必ず先に締め切りを確認する)
上司「実は急ぎの案件で、明後日までにお願いしたい」
(Point③締め切りが直近の場合は、警戒心を高めよう)
あなた「なるほどです。内容を詳しく教えてもらえますか?」
上司「3日後に迫るプレゼン資料を、整えてほしいんだ」
(Point④この回答で上司自身の時間配分ミスが原因と判明)
あなた「それは大急ぎですね。大切なプレゼンですよね」
(Point⑤すぐ拒絶せず、理解と思いやりの言葉を口にする)
上司「そうなんだよ。わかってくれてありがとう」
あなた「実は予定が詰まっていて、状況をしっかり確認してお返事したいので、10分ほどいただいていいですか?」
(Point⑥対面での即答はせず、必ずいったん持ち帰る)
あなた「お待たせしました。◯と◯と◯という今週締め切りの重要タスクを抱えていて、今日と明日は打ち合わせが5本あるんです」
(Point⑦ここで初めて深刻な顔を見せながらも、堂々と話す)
上司「そうか……」
あなた「ご迷惑をおかけしてしまうので、今回は見送らせていただいた方がいいですね。たいへん申し訳ありません」
(Point⑧低姿勢ながらも、言葉を濁さず強めの口調で)
上司「なんとかならないかな?」
あなた「私が抱えるタスクやアポよりも優先すべきでしたら、今から各方面に、後回しやリスケのお願いをしてみますが」
(Point⑨丁重な言葉使いでこう言い切れば、必ず相手は別の人にお願いした方がいいと判断する)
上司「いや、それなら大丈夫だ」
あなた「今回はお力になれず、申し訳ありません!」
全体を通してのポイントは、とにかく最初から最後まで「嫌な顔を一切見せず、さわやかに対応する」である。改めて、ポイントを復習してみよう。
↓
締め切りを先に聞くことで「お断り対策」を立てやすくする
↓
締め切りの迫り具合で無茶ぶりかどうかを見極める
↓
内容を聞いて、受ける価値があるかを判断
↓
合意と理解を示すことで相手を油断させる
↓
冷静に「断りの準備」をするために持ち帰る
↓
予定とタスクを頭に入れて理論武装を固める
↓
友好的な態度を見せつつ毅然とした態度でNOと言う
↓
最後まで気を抜かず敬意を見せて礼儀正しく
この技法がもたらすメリットは他にもある。
こうやって理路整然とした断り方が板に付けば、あなたに無茶ぶりをしようとする人がいなくなっていく。さらに、「あいつは筋の通った人間だ」と周りに信用されるようにもなるのだ。
そして、どんどんやってくる大量の「お願い」の中から、「あなたにしかできない仕事」「実力を伸ばしてくれる挑戦」を選び取れるようになっていく。
取捨選択した上で、受けると決めたお願いごとには全力で応え、相手に感謝されるほどのレベルに仕上げよう。すると、次のステップにつながるいい依頼が舞い込んでくるようになる。そうやって信頼とスキルを築き上げていくのだ。
念のためにお伝えしておくが、これは「ただサボりたい人」のためのものではない。
他人からあなたの時間(命)を取り戻し、本当に大切なことに全力を尽くす人生にするためのメリハリ術である。
(本記事は、『超ミニマル・ライフ』より、一部を抜粋・編集したものです)