2000年代からゼネコン業界で先駆けて積極的なM&A(企業の合併・買収)で事業を拡大してきた準大手ゼネコン、高松コンストラクショングループ。特集『ゼネコン複合危機 全国2565社ランキング』の#8では、21年から経営トップを務める創業家の高松浩孝社長が、これまで傘下に収めた17社のPMI(統合プロセス)の秘訣や、今後のM&A戦略の中身について語った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
小松建設工業、青木建設、金剛組など
17社を取り込んできたM&A巧者
――2000年代以降、17社をM&Aしました。
戦略的に進めていったというよりも、機会に恵まれた結果です。当社の源流である高松建設は、他社がバブル期に不動産開発に手を出す中で、堅実な経営を進めてきました。バブル崩壊後に他社が業績悪化する中、技術・人材面で優れた他社を救済する形で、業界では当時新しかったM&Aを手掛けてグループを形成してきました。
――1社目が2000年買収の小松建設工業(現青木あすなろ建設)でした。
コマツの子会社でした。高松建設としても事業の拡大を目指す中で、こうした案件が出てきました。小松建設工業に関しては救済というよりも、事業拡大の一環です。
その後の大型M&Aとしては青木建設(小松建設工業と04年に合併して青木あすなろ建設)。最盛期の売上高は約3000億円超。当時の高松建設の売上高が300億円程度だったので約10倍の規模の会社をM&Aし、総合建設の体制が整いました。その後、純粋持ち株会社に移行し、現在高松コンストラクショングループと(傘下の)事業会社18社で構成されています。
――シナジー効果をいかに生み出すか。秘訣はありますか?
救済型のM&Aが多かったということもあって、その会社の歴史とか技術を尊重して働く社員の皆さんが傷つかないように、各社に裁量を与え、社名を残し、極力人員整理はしない、赤字であっても賞与を支給するというようなポリシーでもって進めてきました。親会社、子会社という呼称も使わず、グループ会社という呼称で統一しています。
――こうした貴社の姿勢を見て次々と案件が舞い込んできた?
おっしゃる通り。例えば買収した金剛組は世界最古の企業として世界的に知られた会社です。伝統ある宮大工を絶やさない使命感でもって、当社が引き継ぎました。そういった姿勢、関係性から、次のM&A情報も頂けるようになりました。
――M&Aで苦労は?
高松コンストラクショングループは高松浩孝氏が社長就任した21年ごろから、それまでM&Aで拡大してきたグループの内部再編に力を入れている。一方でさらなるM&Aも視野に入れている。次ページでは、高松氏が、その背景やM&Aの対象として関心を持っている分野を語る。