ゼネコン複合危機全国2565社ランキング 大淘汰秒読み#9Photo:zhihao/gettyimages, jayk7/gettyimages

人手不足とインフレによる資材高にあえぐ建設業界。その影響度を調べるため、建設業界のデータベース事業を展開する日本マルチメディア・イクイップメントの協力で、主要業種「土木一式」に該当する建設会社626社について、5指標で独自分析した経営耐久度ランキングを作成した。特集『ゼネコン複合危機 全国2565社ランキング』(全18回)の#9では、「土木一式」626社の経営耐久度ランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

資材高であっても
「スライド条項」に守られた土木分野

 2020年度以降、建設業界を苦しめている資材高について、土木分野の工事を担う建設会社は、比較的“優遇”されていたといえる。

 その理由は、「スライド条項」なるものである。

 スライド条項とは、請負契約後に物価や賃金の水準が変動し、その変動額が一定割合を超えた場合、施工側が施主側に請負代金の変更を請求できることである。スライド条項は主に国や自治体が発注する公共工事で設けられている。

 土木分野の中心は公共工事だ。主に公共工事を請け負う建設会社は、急激な物価上昇でもスライド条項によって、その上昇分を一定程度、発注先である国や自治体に価格転嫁できたのである。

 もっとも、スライド条項によって物価上昇分の全てを価格転嫁できたわけではない。資材高が直撃した建設会社も少なくなかったのだ。

 いよいよ、働き方改革に伴う残業時間の上限規制が24年4月から建設業にも適用される。人手不足の深刻化と労務費の高騰は必至。「2024年問題」が、満身創痍の状態にある建設会社に追い打ちをかけるのである。

 では、これまでに各社が負ったダメージは、どの程度なのか。資材高と人手不足の影響度を探るため、ダイヤモンド編集部は、国や自治体に提出する経営事項審査結果を公表している建設業者延べ25万社の情報について、建設業界のデータベース事業を展開している日本マルチメディア・イクイップメント(JME)の協力を得た。

 JME提供のデータを基に、「売上高経常利益率」「負債回転期間」「自己資本比率」「技術職員数」「総合評点P」の5指標を採用して全国2565社の経営耐久度ランキングを作成した。

 次ページでは、主要業種「土木一式」に該当する626社の経営耐久度ワーストランキングをお届けする。ワースト1位になったのは、京都府の建設会社だった。