人手不足とインフレによる資材高にあえぐ建設業界。その影響度を調べるため、建設業界のデータベース事業を展開する日本マルチメディア・イクイップメントの協力で、経営耐久度ランキングを作成した。特集『ゼネコン複合危機 全国2565社ランキング』(全18回)の#13では、主要業種「電気工事」に該当する会社276社について、5指標で独自分析した経営耐久度ランキングをお届けする。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
最も“好調”だった電気工事
選別受注で乗り切る
2019年4月1日から22年3月31日までの決算期で、主要6業種の中で“好調”だったのが「電気工事」。当該期間3年間の「売上高経常利益率」の平均増減率は、電気工事276社全体で27%増となり、群を抜いていた。
電気工事は「土木一式」や「建築一式」に比べて、より専門性の高い工事だ。人手不足と資材高を逆手に取り、高採算の案件を選ぶ「選別受注」で乗り切ったとみられる。
しかし好調な電気工事でも、落とし穴にはまった会社があった。
いよいよ、働き方改革に伴う残業時間の上限規制が24年4月から建設業にも適用される。人手不足の深刻化と労務費の高騰は必至。「2024年問題」が、満身創痍の状態にある建設会社に追い打ちをかけるのである。
では、これまでに各社が負ったダメージは、どの程度なのか。資材高と人手不足の影響度を探るため、ダイヤモンド編集部は、国や自治体に提出する経営事項審査結果を公表している建設業者延べ25万社の情報について、建設業界のデータベース事業を展開している日本マルチメディア・イクイップメント(JME)の協力を得た。
JME提供のデータを基に、「売上高経常利益率」「負債回転期間」「自己資本比率」「技術職員数」「総合評点P」の5指標を採用して全国2565社の経営耐久度ランキングを作成した。
次ページでは、主要業種「電気工事」に該当する276社の経営耐久度ワーストランキングをお届けする。ワースト1位になったのは、ある大手企業のグループ会社だった。