日本人の英語熱は明治維新の頃から高まり続ける一方、英語学習を「つらい」と感じる人はいまだ多い。そういった無邪気な学習者たちに笑顔を取り戻してもらうべく、仕事ができない社員や、愛社精神の低い社員、窓際族などによる非エリート風の言い訳や失敗をまとめた書籍『ろくでもない英語の言い訳300』が刊行された。ネイティブもあきれかえる、職場では絶対に使えないその内容とは? 同書から特別に一部を公開する。

ろくでもない英語の言い訳300イラスト:村上テツヤ

「ちゃんと仕様書に書きましたよ。縦読みしなかったんですか?」
“I did write it in the specifications. Didn’t you read it acrostically?”

「仕様書」とは、製品やサービスなどが満たすべき条件や内容を明示し、まとめた書類のことです。制作するものや内容によって様式は千差万別ですが、何を作るかを明確にすることで、関係者間の齟齬がなくなります。スカイツリーから、花田優一の靴まで、あらゆるものに仕様書は存在し、うっかり読み間違えようものなら、ピサの斜塔のように傾いたり、いつまでたっても靴が届かなかったり、なんてことも。

現場を混乱させない仕様変更

「要件定義とは、破られるためにある」
“Requirement definitions are made to be broken.”

 ルールと同様、要件定義とは破られるために存在します。サッカーの最中にボールを手で抱えてゴールに突進したことでラグビーが生まれたように、人類の歴史はルールを変更することで発展してきました。

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「この仕様書を作った人間の脳の仕様書を見てみたい」
“I’d like to see the specs for the brain of the person who wrote this specification.”

 神は世界を6日間で創ったそうですが、人間の制作には1日程度しか充てられていません。仕様書に抜けがあったとしても大目に見てあげましょう。

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「仕様の変更は、用法・容量を守って正しくお願いいたします」
“Please change the specifications correctly, following the recommended use and dosage.”

 仕様の変更はまるでラブストーリーのように突然やってきて、現場に混乱と残業をもたらし、せっかく入った新入社員も退職代行を使って音もなく辞めていきます。薬と同様、仕様変更のオーバードーズにご注意ください。

(本稿は、『ろくでもない英語の言い訳300』を抜粋、再構成したものです)