トップ営業の重要性に気づいてから次々と業務改善を実行し、業務拡大を目指す
その後、女性は「スピードの原則」を実践し、すぐに3人の女性を雇用しました。
私でさえ驚いて、「えっ、なぜ3人も同時に雇ったんですか?」「経費は、大丈夫ですか?」などと聞いたところ、「やりかけの仕事が数多くあることに気づいたからです」という回答でした。
その後も、「設備投資の原則」を参考に、事務管理ソフトも導入したと報告がありました。
ご主人には弁護士としての専門の仕事に集中してもらう。そして、仕事のスピードアップを実現し、早く案件を処理し請求する。事務所全体を効率化させる意図です。
とにかく早く仕事を終わらせて請求する、という決断をされました。
この奥様は、「トップ営業の原則」を実践しながらいろいろ感じることが多かったようで、さらに「自己責任の原則」や「現金最優先の原則」なども取り入れ、事務所の改善を実行しました。
数カ月後、「今期の結果を見ていただきたいです。おかげさまで、大きな破産管財人の仕事も取りました」と、嬉しそうに報告していただきました。
トップ営業ならば、新しい依頼者の複雑な案件にも、トータルでいくらかかるか、時間でいただくのか、着手金でいただくのかといった料金体系も、すぐ伝えることができるでしょう。
ご主人が築いてきた実績や、それに対する仕事の負担も振り返れば、正確な仕事の単価、時間当たりの報酬も出せるでしょう。そこまでできれば、概算の料金体系を新たに作り直すことも可能になります。
現在、取りかかっている仕事の依頼者に、途中から支払いを申し出るのは難しくとも、新しい依頼者の仕事から、新しい報酬システムで始めることは比較的容易でしょう。
ここまで進めれば、働けど働けど、現金が入ってこない状態から抜け出すことができます。
依頼者である奥さんであり総務経理の責任者は、ゆくゆくは弁護士法人としての“事業の拡大”の意欲を見せています。
新しい市場を開拓するためには、未知の顧客を探し出す必要もあるでしょう。そんなときでも「トップ営業の原則」の姿勢は生きるはずです。