週末起業や副業に乗り出すビジネスパーソンが増えている。そんな時、ビジネス用のウェブサイトがあれば何かと便利だ。一昔前までは、ウェブサイトの作成には相応のスキルが必要だった。HTMLやプログラミングの知識がないのでブログサービスで代用したという方も多いだろう。
しかし、技術の進化は日進月歩。HTMLやCSSの知識がゼロでも、簡単にウェブサイトをつくれる無料ビルダーがこのところ続出している。ドイツ発の「jimdo」は、テンプレートを選んでドラッグ&ドロップで編集していくタイプ。同様のサービスに「Weebly」もある。こちらはHTMLの直接編集も可能だ。シングルページであれば「tackk」も使いやすい。
中でも注目度が急上昇しているのが、2012年12月に日本語版が登場した「Wix」だろう。HTMLの最新バージョンであるHTML5に対応したサイトづくりが可能で、これまで面倒だったモバイル対応にも遜色がない。
作成手順は驚くほど簡単だ。まず、アカウントを取得し、テンプレートを選択する。このテンプレート、数百種類が用意されており、この豊富さがWixの魅力のひとつになっている。各国のデザイナーと提携しており、テンプレートの数は日々増えている状態だ。
カテゴリーを見ると、ビジネス&サービス、音楽&エンターテインメント、オンラインショップ、レストラン&ホスピタリティ、写真、舞台芸術、デザイン、小売り&ファッション、個人用と分かれ、そこからまた詳細な職種、業種へと細分化されている。
特筆すべきは、ジャーナリスト、作家、PR業、コーチングを始め、スモールビジネス向けに設計されたテンプレートが数多く用意されている点だ。フリーランス社会の欧米で成長してきたサービスだけに、個人サイトの実績や作成例も充実している。
好みのテンプレートを選んだら、編集画面に入る。ここでは、ドラッグ&ドロップで画像やテキストを嵌め込んでいくだけ。色やアイコンも自由にカスタマイズできる。そして、URLを決め、公開ボタンをクリック。これで完了だ。テキストや画像を用意しておけば、作成から公開まで30分もかからない。
Wixは、いわゆる「フリーミアム」のビジネスモデルである。無料プランには広告が表示されるが、課金タイプを選択するとドメインの変更ができ、広告も非表示になる。広告なし・独自ドメインのプランは、月額9ドル90セント。帯域無制限プランは14ドル90セント(月々払いの場合。年間一括払いだと16.7%ほど割安になる)の設定になっている。
FacebookやtwitterなどのSNSフィードも簡単に実装できる。自身のプロフィールや実績、仕事情報などは、ウェブサイトで一覧できるようにまとめ、日々の情報発信はSNSやブログでこまめに行う。個人事業のプロモーションとして使うならば、そのような役割分担が効果的だろう。Wixの拡張機能を使えば、ブログサービスのTumblrとも簡単に連携できる
このWix、2006年にイスラエルのベンチャー企業が始めたサービスである。現在、世界で約2600万サイトの実績を有している。「個人商店などのスモールビジネスの多い日本では、Wixのような簡便なサービスが浸透すると予想しています」とCEOのアビシャイ・アブラハミ氏は話す。Wixが狙うのは、ずばり日本の個人ユーザーである。
いま、Facebookやブログで情報を発信しているビジネスパーソンは、このプラットフォームで本格的なウェブ活用に乗り出す価値はあるかもしれない。
(吉田由紀子/5時から作家塾(R))