SNSが映ったスマホ写真はイメージです Photo:PIXTA

私たちは日々さまざまな情報を目にし、役に立つものを記憶したり、スマホに保存したりしています。ただ、それをやりすぎると飽和状態になることも…。そこで、ノーベル物理学賞受賞者リチャード・ファインマン氏らの手法を参考に、大量のコンテンツの中から自分にとって「重要なところだけ」を拾うコツを紹介します。

※本記事はティアゴ・フォーテ(Tiago Forte)『SECOND BRAIN(セカンドブレイン) 時間に追われない「知的生産術」』(東洋経済新報社)から一部を抜粋・編集したものです。

あのノーベル賞受賞者が活用する「12の質問」

 大量のコンテンツに囲まれていても、「これは保存する価値がある」と簡単に判断する方法があります。名づけて「(人生のカギになる)お気に入りの12の質問」。

 ノーベル物理学賞受賞のリチャード・ファインマンからヒントを得たやり方です。

 ファインマンは理論物理学と量子力学における画期的な発見で知られ、1965年にノーベル賞を受賞しています。スペースシャトル・チャレンジャー号爆発事故の調査員として中心的な役割を果たし、数冊のエッセイを上梓(じょうし)しました。

 1人の人間がいかにして多くの分野で多くの貢献ができたのか? ファインマンはその秘訣をインタビューでこう明かしています。

「お気に入りの12の質問」をつねに頭に入れておくこと。それらの問題はほぼ休眠状態でかまいません。新たなやり方や理論を目や耳にしたら、12の質問を解くのに役立つか試してみます。すると、それが問題解決へつながることがときどきあり、「どうやったんだ? あいつは天才だ!」と大騒ぎされるわけです。

 つまりファインマンのやり方とは、「未解決の12の質問を頭に入れておくこと」でした。新たな科学的発見があると、それを12の質問へ当てはめ、新たな見方ができないか確認する。このアプローチのおかげで、彼は一見関連性のないものごとを縦横に結びつけてきたのです。

『ファインマンさんの愉快な人生』で語られているように、ファインマンはディナーの席でのハプニングから物理学のヒントを得たことがあります。

……彼がコーネル大学の学食で食事をしていると、誰かがふざけて大皿を投げあげた。縁のところに大学の紋章がついたその皿が空中に飛びあがった瞬間、彼はずっとのちに啓示と考えるようになったある経験をしたのだ。皿はくるくるまわりながらぐらぐら揺れている。紋章のおかげで、その回転と揺れが一致していないことに、気づけた。その一瞬、あるいは物理学者の直感からか、その2つの動きに関係があるように思えたのだ。