「Rapidus(ラピダス)」の小池淳義社長(左)と東京エレクトロンの東哲郎会長「Rapidus(ラピダス)」の小池淳義社長(左)と東京エレクトロンの東哲郎会長 Photo:SANKEI

北海道千歳市に5兆円を投じ工場を建設するラピダスは、次世代の2ナノメートルに加え、1ナノメートルのロジック半導体の生産も目指すという。ただ、ラピダスの前途には、まだ高いハードルが立ちはだかっていることも忘れてはならない。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

半導体ラピダスの前途には
高いハードルが立ちはだかっている

 近年、わが国で大型の半導体関連プロジェクトが走り出している。熊本県菊陽町では、台湾積体電路製造(TSMC)が第1工場に続き第2工場を建設する。第2工場の投資総額は約2兆円、回路線幅6ナノメートル(ナノメートルは10億分の1メートル)のロジック半導体を生産する予定だ。

 北海道千歳市に5兆円を投じ工場を建設するラピダスは、次世代の2ナノメートルに加え、1ナノメートルの線幅を持つロジック半導体の生産も目指すという。そのため同社は、フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)の付属機関、CEA-Leti(電子情報技術研究所、レティ)とも連携する。

 それに加えて、IBMやベルギーの研究機関であるimec、世界で唯一の極端紫外線(EUV)の露光装置を製造する蘭ASMLは、ラピダスとの協業を表明している。これらの顔ぶれを見ると、世界有数の協力体制が整いつつあるように見える。

 ただ、ラピダスの前途には、まだ高いハードルが立ちはだかっていることも忘れてはならない。電力や水、物流などにも不安がある。また、最大のネックといわれるのが人材、技術者の確保だ。人材の養成には時間がかかる。産官学の総力を挙げて高いハードルを越える必要がある。