この発言を受けて、立憲民主党の小宮山泰子衆院議員は4月26日の衆院国土交通委員会で、ライドシェアについてなし崩し的に導入が進むことについて懸念する観点から、斉藤鉄夫国土交通大臣に質問している。
斉藤大臣は、「いわゆるライドシェアにつきましては、運行管理や車両整備等について責任を負う主体を置かないままに、自家用車のドライバーのみが運送責任を負う形態を前提としており、安全の確保、利用者の保護等の観点から問題があると考えておりまして、この考えは従来から変わっておりません」などと答弁し、その導入について否定的、少なくとも消極的な姿勢を示している。
ライドシェアの解禁が言われだした背景として、タクシー不足、運転手不足があり、これにコロナ後の外国人観光客の急増が拍車をかけている、とされている。では、なぜタクシー不足、運転手不足になったのかというと、結論から言えば「改革」による業界破壊の結果である。
1996年、タクシーの安易な新規参入を抑制するための需給調整についてこれを見直す方向性が示され、翌97年には規制緩和推進計画の再改定に盛り込まれた。そして、需給調整規制を廃止し、事業者間の競争を促すことなどを内容とする「道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律案」が、2000年5月に国会で可決成立し、2002年2月に施行された。
需給調整規制の廃止が
人手不足の大きな原因
この需給調整規制とは、タクシーに対する需要と供給のバランスを考慮した上で新規参入(供給の増加)を認めるというもので、免許制により、まさに安易な新規参入を抑制していた。ところがこれが廃止されたことにより、一定の条件を満たせば新規参入は原則として自由になった。
参入が自由ということは退出、つまりタクシー事業の休止や廃止も緩和されることを意味する。それまでの認可制から届け出制になった結果、タクシーが極端に少ないか、全くない地域が生まれてしまうことになった。
確かに需給調整規制の廃止後5年間はタクシーの事業者数・台数は増えたが、それ以降は減少傾向が止まらず、ずっと減り続けている。輸送人員は規制緩和後も横ばいであり、2007年以降はずっと減少、輸送収入も同じ動きを見せている。