しかし普通の証券会社ではリアルな株券の管理体制も整っていませんし、預かるための金庫も必要とあって、容易には対応してもらえません。日本では、この方法により税制適格性を保ったまま権利行使ができる証券会社は、私が知る限り1社だけです。1社あるからよいということでもなく、紙の株券を発行するというトリッキーな手段が必要な上に、証券会社のキャパシティによっては受け入れてもらえないかもしれないということは、法律上の課題があるといえるでしょう。

前編に続き、後編では法制度の課題以外にも横たわる慣習の問題や、スタートアップエコシステムを活性化するにあたってあるべき株式報酬の姿について聞いていく。