このゲームの特徴的なところは、他にもある。もともとPlayStation 4(PS4)やNintendo Switchなど現行の全ゲーム機およびPC向けに発売されることが決まっていながら、2月に発売されたのは最新のゲーム機であるPS5とXbox Series X|S、そしてPCの3機種だけだったことだ。MicrosoftがActivision Blizzardの買収を行うにあたって欧州委員会の公聴会で発表したデータによると、PlayStationシリーズとXboxシリーズのシェア比は世界で7:3。日本においては96:4と圧倒的な差がある。つまり世界単位でもPS4/5のシェアはXboxシリーズをダブルスコアでリードし、日本国内ではPS4/5が寡占状態という数値だ(あくまで両社の比較なので、Nintendo Switchは含まれていない)。

PS5、Xbox Series X|Sともに市場で品薄になっている状況は同じ。つまり発売元は“市場にあまり出回っていない”最新ゲーム機とPC(高性能なゲーミングPC)向けという、ハイエンド環境に限定して発売するというリスキーな販売方法を選び、それが大成功を収めたのである。

品薄の影響で6万円弱のPS5が8~10万円で転売

前述したホグワーツ・レガシーはXboxシリーズやPC向けにも発売されているが、説明をシンプルにするため、あえて話題をPS5に限定して説明しよう。

2020年11月に発売したPS5は、発売から約2年間に渡って品薄状態が続いていた。このため発売当初は税別4万9980円(税込5万4978円)で発売したにも関わらず、各種オークションサイトでは8万円から10万円ほどの価格で落札されていた。このため転売目的の購入も相次ぎ、小売店の店頭でPS5の姿を見ることはほとんどなかったのである。

PS5本体を欲しがるゲームファンは一定数いても、転売によりメーカー希望小売価格よりも高額になっているPS5には手を出さない。これにより、PS5のメーカーであるソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)がPS4を上回るペースでPS5を生産・出荷しても、ゲームファンの手になかなか届かないという状況が続いていた。

この影響は、PS5「専用」ソフトの売上にも影を落としている。移植や高解像度リマスター作品を除いたPS5専用ソフトは、2021年4月に発売した『Returnal』(世界合計56万本)。続いて6月に発売された『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』は世界110万本を販売。しかし、翌2022年3月にPS5とPCで同時発売した『Ghostwire:Tokyo』と、9月に発売した『Steelrising』は販売本数を発表していない。