勤務先を確認済みで信頼性が担保されているため「海外で働きたいユーザーが現地企業の社員に質問する」「選考を受けている企業の“中の人”にアドバイスを求める」といった使い方もしやすい。「所属企業と勤続年数、職種、年収をひたすら投稿する」ような、生々しいスレッドも盛り上がっているという。

投稿されているコンテンツの例
投稿されているコンテンツのイメージ。実際に職場環境や就活、転職、キャリアアップ、恋愛、メンタルヘルスなど幅広いトピックに関する議論が生まれているという

社会人を対象としたキャリアSNSではあるものの、WorkCircleが目指している方向性は「匿名だからこそざっくばらんに相談できるコミュニティ」(冨成氏)だ。子どもの習い事や休日のリフレッシュの方法、恋の悩みなど投稿されるトピックの幅は広い。

「友人や同期には相談しにくい内容であっても、匿名であれば聞けることもある。現在はIT業界で働いている人をターゲットにしているので、自分と似たような環境にいるユーザーへ意見を求めたり、相談できたりする点は(社会人向けSNSとして)大きな武器になると考えています」(HonneWorks創業者のテリー・フィリップ・ドリュー氏)

エンジニア給与DBからのスタート、「給与以外の情報ギャップ」解消目指す

HonneWorksは2021年の設立。創業者のテリー氏と代表を務める冨成氏は複数のIT企業でキャリアを積んできており、リクルート在籍時に同じチームで働いていた間柄だ。

最初に開発した匿名性のエンジニア給与データベース「OpenSalary」は、自らの転職活動での経験がアイデアのもとになっている。

最初に立ち上げた「OpenSalary」はさまざまな企業で働くエンジニアの給与データを集めたデータベースだ
最初に立ち上げた「OpenSalary」はさまざまな企業で働くエンジニアの給与データを集めたデータベースだ

毎回のように「年収はいくらを想定していますか?」と聞かれたが、希望金額が妥当なのかが分からず「貴社の水準にお任せします」としか答えられなかった。会社や職種単位で給与水準をもっとオープンにできれば、同じ状況にいる人の役に立つかもしれない。そう考えて開発したOpenSalaryは公開から3日で3万PVを集め、想像以上の数の人たちから給与データが寄せられたという。

テリー氏たちはOpenSalaryの運営を通じて「匿名コミュニティ」の可能性を感じるとともに、「キャリアを考慮する上で給与が大事な情報であることは間違いないものの、給与以外の情報においてもギャップ(情報格差)が大きい」と考えるようになった。

特に日本ではジョブ型採用が広がり始め「何ができて、どのように会社に貢献できるのか」が今まで以上に求められる時代になりつつある。そんな環境だからこそ、キャリア構築のために語り合える場所が求められているのではないか──。WorkCircleはそのような背景から生まれた。