その情報のギャップをアスリートと連携しながら作ったコンテンツで埋めていこうというのがSPOSHIRUの戦略であり、同サービスの拡大に繋がった大きな要因でもある。

TENTIALのビジネスの構造

「読者の悩み」から生まれたインソール

冒頭でも触れた通り、中西氏は当初からSPOSHIRUの次の打ち手として、“スポーツ×物販”の領域に参入する計画を立てていた。ではその中でなぜインソールを最初のプロダクトに選んだのか。そこには大きく2つの理由がある。

1つはスポーツメーカーがたどってきた歴史だ。中西氏によると、スポーツメーカーの多くは最初にシューズを始めとした「足」の領域からビジネスをスタートさせている。背景としてシューズは「機能性ブランドとしての認知が取りやすい」商材であり、医者やアスリートなどからも明確に機能性がわかるものの方が受け入れられやすいという事情があるそう。

同じような観点からTENTIALでも当初はシューズやサンダルなども検討したが、それらの商材はロット数やサイズなどの変数が多く作りにくいため、まずはインソールに目をつけたのだという。

 

そしてもう1つ、SPOSHIRUを運営する中で気づいた「ユーザーのペイン」もインソールから攻めるきっかけになった。

スポシルのユーザーデータを分析してみたところ、検索エンジンで足の悩みを解決する方法を調べ、検索結果に表示されたスポシルの記事にたどり着く人が一定数いることがわかった。そこで試しにLINEで足の不安を気軽に相談できる「足の相談所」を接骨院と連携して開設したところ、1日に30件ほどの相談がきたそうだ。

「足の課題を抱えている人が多いとことがわかったので詳しく調べてみた結果、『浮き指』という病名があること(立っている時や歩いている時に足の指が床や靴底に接地しない、接地していても指先に力を入れて踏ん張れない状態)や、足の状態が悪いと肩こりや腰痛に繋がるメカニズムになっていることなどを知ったんです。そうであるならば、足を改善するだけで日常生活のポテンシャルがすごく上がるんじゃないかと考えインソールに可能性を感じました」(中西氏)

一般レベルのインソールの知識があったとはいえ、中西氏には自ら製造した経験まではない。そこで専門家に話を聞くべく、スポットコンサルサービス「ビザスク」などを活用しながら商社や工場の担当者に片っ端から話を聞いた。

オンラインや電話でのヒアリングも含めるとその数はだいたい40人ほど。そこからインソールの知識や業界のネットワークを広げていった。TENTIALとインソールを共同開発するBMZは、ではプロスキー選手などトップアスリートが活用するインソールを手がけることでも知られる群馬のメーカー。その会社との縁もビザスクで知り合ったビジネスマンからの紹介で生まれたものだ。