さまざまな方向性を模索する中で偶然出会ったのが「プログラミング」だ。YouTubeで当時アメリカの大統領だったバラク・オバマ氏がプログラミング学習を進めている動画を見て、のめり込んだという。

サッカーも学歴もなかったけれど、プログラミングを学び始めたことで人生が変わったーー。そんな自分自身の体験を世の中にも広めていくべく、中西氏は19歳の時にプログラミング学習事業を展開するインフラトップ(2018年11月にDMM.comが買収を発表)に創業メンバーとして参画した。

同社で事業責任者などとして約3年間働いた後は、一度大企業で修行するべく22歳でリクルートに中途入社。23歳で満を持してTENTIAL(創業時の社名はAspole)を立ち上げる。

元からスポーツを軸に起業することは決めていたが、改めて事業案を整理する中でインターネットを上手く活用した次世代のスポーツメーカーという構想が固まった。そのためにはまずネット上でスポーツの流通・コマースの領域を抑えにいく必要がある、そんな考えから作ったのがSPOSHIRUだ。

このメディアの特徴は、現役のアスリートと連携し彼ら彼女らの知見をもとにコンテンツを作っていること。サッカーや野球、ラグビーなど各スポーツのルールやスキルアップ方法に関するノウハウ記事から、スポーツ用品の解説記事まで幅広いジャンルをカバーする。現在月間180万PVを超え、SPOSHIRUを経由して毎月2〜3万件の商品が購入されている状態だ。

アスリートとの関係性はTENTIALの強みの1つ。同社には中西を始め、学生時代にスポーツに打ち込んで全国大会に出場した経験をもつメンバーが多く、アスリートとのネットワークも広い。今回株主として西岡氏が参画しているだけでなく、元プロサッカー選手の播戸竜二氏がCSO(チーフスポーツオフィサー)としてアスリートとの関係性作りや社内メンバーの1on1などに関わっているのもユニークな点だ。

また、TENTIALがメディアから事業をスタートさせたのは、ネットのチャネルを抑えるというビジネス的な観点に加えて中西氏自身が「情報の非対称性が多い」と課題感を感じていたことも大きい。

「スポーツ領域は、アスリートを始めこの分野に詳しい人と一般の消費者との間に大きな情報のギャップがあります。アスリート側からその知識や経験を発信することが少なかったので、スポーツ用品の選び方にしても体の状態を整えるためのノウハウにしても、消費者側は知らないことが多かった。ネットで検索しても個人ブログなどが上位に表示されることも多く、なかなか正しい情報にたどり着けないこともあって自分自身でも課題に感じていました」(中西氏)