昨年より、セコイアを含む多くの海外VCが日本での投資を加速させている状況だ。2019年8月には、データマーケティングプラットフォーム「b→dash(ビーダッシュ)」を開発し提供するフロムスクラッチが、米大手投資会社のKKRを含む引受先から約100億円の資金調達を実施を発表した。

2019年11月には、「Paidy翌月払い」を提供するPaidyが、PayPal Venturesを含む引受先から約156億円の資金調達を実施を発表。2020年8月には、商売のデジタル化を支援する「STORES(ストアーズ)デジタルストアプラットフォーム」 を開発し運営するヘイが、米投資会社のベイン・キャピタルを含む引受先から約70億円の資金調達を発表した。

そして9月には人事労務SaaSの「SmartHR」を提供するSmartHRがセコイア関連ファンドのSequoia Heritageから、そして日本に本社機能を置くゲーム会社のPlaycoが同じく関連ファンドのSequoia Capital Global Equitiesからの資金調達を明かすなど、日本でもセコイアの名を目にする機会が出てきた。

前述のとおり、SmartHRは関連ファンドのSequoia Heritageから出資を受けているが、Sequoia Capital Chinaからの日本のスタートアップ投資としては、第1号の案件となる。

元ミクシィCFOで現アンドパッド取締役CFOの荻野泰弘氏は、MinervaとSequoiaという2社のグローバルVCからの資金調達について、「今のタイミングからグローバルの投資家とコミュニケーションを開始して、上場時、上場後も含めて、『長く海外の投資家から調達できるような環境を整えるべきだ』と考えました。それが今回、海外の投資家に絞ってエクステンションラウンドを実施した背景になります」と説明する。

「我々は事業拡大に向けて、今後も資金を調達して、事業に投資をし続けます。1つのマイルストーンとして、上場・株式公開もあると思います。ですが、そこがゴールではなく、会社が成長し続ける限りは、ずっと資金調達を続けるでしょう。そう考えた時に、長期的に、我々がどんなサイズになっても、100億円、1000億円規模の買収が必要な時にも対応できる、ディープポケットでグローバルな投資家を早期に株主にする必要があります」

「投資家は忙しいので、我々のビジネスのモデルを組んでくれたり、株価のフェアバリューを算定してくれたり、といったことはなかなかしてくれません。ですが、IPOの時には、基本的にはほとんどの投資家がそこまでやってくれます。IPOの土台を作っていく際に、グローバルな投資家といかにコミュニケーションをして関係を構築していくかというのは、非常に重要だと考えています」(荻野氏)