両ファンドからの出資に繋がったアンドパッドの強みについては「きちんとしたビジネスドメインを持っていること」、そして「正しいビジネスモデルで戦っていること」の2点が重要だったと荻野氏は言う。

「グローバルな投資家からは『カテゴリーリーダー』という言葉をよく聞きます。カテゴリーリーダーというのは、そのカテゴリーに1社しかない会社。日本で(建築・建設領域における)カテゴリーリーダーになってくれるだろうという期待のもと、出資していただけているのかな、と感じています」

同じく建設・建築現場向けのSaaSを提供するスタートアップにはフォトラクションなどがあるが、荻野氏は「我々は会話をしている投資家から『日本で競合はどこか』と聞かれたことはありません。圧倒的に競合のいないポジションに我々がいると思っています」と話す。建設・建築業界でアクティブに使用される業界特化ツールとして、不動の地位を築いたからこそ、出資につながったのだと、同氏は説明する。

「我々のビジネスは“業務フロー”を押さえています。要するに、毎日の業務で使わざるをえないというビジネスドメインです。マッチングサービスだと、マッチングをするとき、つまり人を採用する時にだけ必要なプラットフォームになります。ものの売買サービスだと売買するときにだけ使います。ですが、業務フローのためのサービスとなると、仕事をする毎営業日、必要になります。 加えて、ANDPADのチャット機能を使って、現場の方々は非常に活発にコミュニケーションをとっています。(業務フローとチャット機能を押さええている)我々のアプローチに対して、非常に興味と関心を持っていただけています。それらを抑えているから、事業がグローバルSaaSの水準と比べても、比肩するような勢いで伸びています」

「ですが、数字の伸びというのは先行指標ではなく、後からついてくるものだと思っていて、先ほど申し上げたように、ちゃんとしたビジネスドメインを持っているか、そして正しいビジネスモデルで戦っているかが重要です。あとは、自分から言うのは恥ずかしいですけれど、マネジメント体制がすごく整っているというのは、すごくおっしゃっていただけているところです。学生ベンチャーとは違って、それなりに経験があって、将来を確実に見通せるくらいの力を持った経営しているという点も、非常に評価いただいています」(荻野氏)