僕らに自信が……特に僕かな。僕に自信がなかったんで、あいまいな対応になってしまっていたことは明らかに失敗でした。たぶん今なら絶対にそのミスは起きないですよね。

新規事業は「何度打席に立ったか分からない」

赤坂:そんな会社も、新規事業はうまくいきませんでした。っていうかそんなことばっかりですよね。特にBtoBの事業をやめてBtoCの事業に行こうというときは、もう何打席立ったか分からないぐらい。

西川:そうね。Pairsをやるまでに7個か8個くらいやりましたね。リリースしたものもあるし、モックまで作ったけど結局リリースもせずやめたやつもある。デザインだけしてやめたやつもあるし。

赤坂:結局それがうまくいかなかったのは、今振り返ると「ちょっと早すぎるもの」だったんですよね。

西川:3歩先くらいで行き過ぎてた(笑)。新規事業は半歩先じゃなきゃいけませんでした。まだ通信回線が3Gのなのに、料理動画アプリもやろうとしてましたもんね。

赤坂:アプリのデザインまで作ってるんだけど、これって結局料理動画をアップロードしまくるってことは、すごい数の料理をしてコンテンツを作っていかなきゃいけない。なんてイケてないんだ!って言って止めましたね。けど、後々そういう時代が来たという。

テックの流れとかSNSのトレンドを考えた時に「きっと必要であろう」というものを作る方に流れてしまっていたんです。

本当に大事なのは「ユーザーさんが必要としているかどうか」なのに、そういうのを度外視して、エゴイズムで作った商品みたいなものを売ろうとして失敗する、みたいな感じでしたね。あの当時、僕らってたぶん事業の企画も青二才だったんですが、それだけじゃなく、作ろうとする組織のメンバーも全然整ってなかったというか。だから生み出すために頑張って練習してた感はありますよね。

西川:うん、そうね。

赤坂:7回とか打席に立つうちにだんだん自分たちの何がいけないのかが分かってきて、「市場の読みも全然違ったね」という感覚も分かってきて、3歩先を行きすぎてるから、半歩先くらいのものを作ろうよともなったし。どういうメンバー構成でやったほうが良いとかも分かってきて。それで2012年の10月にPairsを出せました。

西川:それまで受託開発をやっていたのはすごいよかったと思っています。当時、他の会社は受託をやめてtoCのサービス開発に振り切っていたんですが、うちだけは受託をずっとやっていたのが、逆にPairsを産んだ時にすごい役だったもんね。