赤坂:結局受託をやっていたおかげで毎月のキャッシュフローも取れてたし、開発で必要なメンバーも社内にもう揃ってきていたし、Facebookを使ったマーケティングについてもわかっていました。ネイティブアプリも作れる状況だったからPairsが作れたし、作れた後の広告宣伝費の捻出をそのキャッシュフローからできたのは全てがコネクトしたというか。

計画持ってやろうと思ってもできないですけどね(笑)でも受託がなかったら、Pairsをグロースさせるために作っていたFacebookアプリも、そもそも作れていませんでした。振り返ってみると全部が正解なんだけど、わからないものですね。いろんな失敗をしたけど、失敗があったからすぐに学ぶ機会ができて、学んだことってもう二度と失敗しないからっていうのを小さく刻んでいって、大失敗しないようにしてきたみたいなところが大きいですね。だからやっぱりやってみることってめっちゃ重要ですね。やってみてないと今の全てはないですもんね。

「1年で全額投資回収する」の思想から生まれたPairs

西川:Pairsをリリースする前に「Pickie(ピッキー)」というアプリ(編集注:Facebook上の友人が利用しているアプリの情報を共有するアプリ)を作って、インキュベーションプログラムのKDDI ∞ Laboに応募したんです。Pickieはリリース後、広告も出したりしてみたんですが、あまりにも伸びが予想と違いすぎたんです。

赤坂:正確に言うと、当時のアプリストアのランキングでは、(出稿によって)インストール数が一時的に上がると、ランキングの上位に掲出されるような状況でした。それで新規ユーザーが流入しても、結局定着しなきゃ意味がないんですけれど、定着度が期待値よりは低かったのを初日に見たんです。今思えば割と使われていたんですけど、僕の期待値が高すぎたんで「全然だな」って思ったんですよ。ただやってみなきゃ分かんない、やってみなきゃ分かんないで押し通していったからあれを出しちゃったんですよね。

でも出してみてそう思ったほどの反響がない。そうだよね。それもともと僕もそんなにいいと思ってないもん、というのが重なってすぐにあんまり注力しなくなってしまいました。その時ですよね。西川さんとあらためて「新規事業を考えなきゃいけないね」って話して、僕アイデアをお互い出そうと決めました。その中の1つだったのがPairs。Pickieをリリースした2カ月後くらいには、もう決まっていました。