リニューアルを気に成長フェーズへ突入した
リニューアルを気に成長フェーズへ突入した 画像提供 : Retty

当初のRettyは、自分の知人やサービス上でフォローした人など“信頼”や“繋がり”をベースに新しいお店と出会えることが1つのウリだった。一方で、検索エンジンでヒットしたRettyのコンテンツを軸にお店を探す体験は従来とは全く異なるものだ。

ある意味では「初期の思想の一部を覆した」ようにも感じられるが、そこに葛藤などはなかったのだろうか。

「もちろん『こう作りたい』という理想はあったけれど、Rettyを成長させるためにはその理想を捨てるというか、広げるための選択肢をとることは相当やりました。軸にしていたのはRetty Wayの1つにもなっている『User Happy』という考え方です。結局のところ、多くのユーザーに使われるようなサービスへと成長できなければ運営を継続できない。実名制などこだわり続けた部分もありますが、ユーザーのためになっているかどうかを判断基準に、いろいろなものに対する理想を常にアップデートしていくことを意識していました」(武田氏)

3000万MAU突破も伸び悩み、痛みを伴いながら再び成長へ

2013年以降はサービスの成長と並行して、数億円〜十数億円規模の資金調達を複数回実施。会社としての規模も一気に大きくなった。

その時々で組織の課題や事業成長における悩みに直面しつつも毎年成長を遂げていたRettyだが、2018年に入ってから雲行きが怪しくなる。ユーザー数が伸び悩むのと同時に、2014年から始めていた飲食店向けの有料サービス(FRM : Fun Relationship Management)に関してもお店会員数の成長がストップした。

RettyにおけるFRMとは飲食店がユーザーと関係性を構築できるように支援するサービスのことを指す。具体的にはユーザー情報を管理するための顧客管理システムのほか、サービス内で上位に表示される仕組みや店舗の広告を掲載するサービスなどが含まれる。同社の収益源はこのFRMと広告コンテンツに分けられ、FRMの収益が広告収益より大きい。

Rettyのビジネスモデル
Rettyのビジネスモデル 画像提供 : Retty

MAUの伸び悩みはGoogleのアップデートなどの影響が大きかったが、武田氏が問題視したのがFRMの状態だ。

「平均すると1店舗当たり毎月約2万円をいただき、送客やコミュニケーションの機能を提供していました。当然2万円分の効果を出すのが前提になるのですが、当時は各店舗に対して細やかなフォローが行き届いておらず、定量的な指標やアルゴリズムなども整備されていなかったので、成果が出る店舗と出ない店舗が極端に分かれてしまった。成果に繋がらない店舗は継続利用に繋がらないため、社内でも一時的に『やばいやばい』という状況に陥っていたんです」(武田氏)