4月には東京都・杉並区で配達員が事故死し、5月には配達員が自転車で首都高速道路に侵入。10月に配達員に衝突され怪我をした女性が配達員とUber Japanを提訴したと報じられたのも記憶に新しい。
こうした状況を鑑み、ドコモ・バイクシェアではリスク回避のため、特別会員プランを12月末で廃止する。
新規の申し込みは、11月30日の午後5時で受付終了。すでに契約済みの場合は、12月末をもって解約となり、以降はIDが利用できなくなる。
ドコモ・バイクシェアでは、特別会員プランの廃止後、Uber Eatsなどフードデリバリーサービスの配達員に向けた新たな割引プランを提供する予定は現状ないという。
社会問題となった配達員の事故や交通ルール違反
ドコモ・バイクシェアの広報はプラン廃止の理由について、「自転車台数の不足」と「道路の右側を走る“逆走”など一般的なマナー違反が目立った」と説明するにとどまったが、国民生活センターにも多くの相談が寄せられている。
今年度、「外食・食事宅配」に関する相談は4月から10月末の間に549件。前年同期の231件から約2倍に増えている。 国民生活センターの広報は事業者名を明かさなかったものの、フードデリバリーサービスの「配達員とぶつかりそうになった」または「配達員とぶつかった」という具体的な相談があったと説明する。
月額課金のサブスクリプション型ビジネスには安定収入を得られるビジネスメリットがある。だが、このままUber Eatsの配達員による利用が続けば、シンボルである赤い自転車自体の評判を悪くしかねない。フードデリバリーが爆発的に普及した今年、年末に配達員向けのプランを廃止するドコモ・バイクシェア、そして10月になってようやく京都府警と共同で配達員に交通安全講習を実施したUber Japan。すでに事故や交通違反が横行している中での両社の決断は、決して早い対応とは言えない。