「そのためこの1年は採用人数が多いメガベンチャーや数十億円の資金調達をしている成長フェーズのスタートアップにフォーカスして開発していきました」(中嶋氏)

どういう環境であれば、候補者が生き生きと働けるのか。逆にどういった環境だとパフォーマンスが発揮できなくなるのか──こうした情報を取得できるようにすることで、まずはメルカリやhey、SmartHRなど採用に力を入れるスタートアップを中心に導入が進んでいった。その後、導入企業の事例が増えていくことで「きちんとした内容のリファレンスが取得できる」という認知が広がっていき、今では金融系の大企業もback checkを導入している。

back checkを導入している企業の例
メガベンチャーやスタートアップを中心にback checkが導入されている

「リファレンスを取得できるツールを開発することは決して難しくありません。他の企業も開発しようと思えば開発できるでしょう。ただ、back checkは情報や権限の管理、セキュリティ対策なども力を入れており、大手企業が求める水準をクリアしています。これは一朝一夕で出来るものではないので、サービスの大きな強みになっています」(中嶋氏)

前述のとおり、これまでにもリファレンスチェックサービスは存在しており、今年の10月には人材大手のエン・ジャパンもオンライン型リファレンスチェックサービス「ASHIATO(アシアト)」の提供を開始するなど、競合サービスも複数ある状況だ。この点に関して中嶋氏は「営業力の部分に関しては大手企業が強いかもしれませんが、私たちはプロダクト開発に強みを持っているので、あまり競合のことは考えず、より一層使いやすいサービスにするための開発に注力していければいいと思います」と語る。

採用管理システムとの連携を強化、大手企業の需要に応える

企業の採用フローにリファレンスチェックを定着させることで「継続率に関しては99%記録している」(中嶋氏)というback check。実際、とある導入企業では毎月40、50件ほどのリファレンスチェックを実施しているとのこと。採用のミスマッチを防ぐためのツールとして、必要不可欠な存在になり始めている。

「この1年でサービスを伸ばしていける手応えは掴めました。ただ、年間約300万人が転職している状況から考えると、まだまだ何もできていないに等しい。来年以降はプロダクトとして、さらに進化させることに注力していければと思っています」(中嶋氏)

今後、どのようにサービスを進化させていくのか。中嶋氏によれば、「リファレンスチェックで取得できる情報の範囲を広げていく」「リファレンスチェックが適用できる業界を広げていく」「採用管理サービスとの連携」の3つに注力していくという。