2017年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの魔法』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの魔法Photo: Adobe Stock

1日中、汗をかいて仕事をすれば、「冷たい水の一杯」でも幸せとなる

 世の中の「モノ」には、名前があります。

「茶碗」を見たとき、100人が100人とも、「これは茶碗である」ことがわかります。「お箸」を見たとき、100人が100人とも「これはお箸である」ことがわかります。

「お皿」を見たとき、100人が100人とも「これはお皿である」ことがわかります。

 では、100人が100人とも、「これは幸せである」と呼べるものは、はたして存在するのでしょうか?

 Aさんにとっては「幸せ」な出来事でも、BさんやCさんにとっては、「幸せではない」かもしれません。

「『幸せ』という名の絶対的な名称を持つ現象は、地球上に存在しない」というのが、40年間、研究してきた私なりの結論です。

 では、「幸せ」という名の現象が地球上には存在していないにもかかわらず、どうして、「幸せ」という言葉が存在しているのでしょうか。

 それは、「幸せ」という現象が存在しているからです。

「ちょっと待ってください。『幸せという名の現象は存在しない』と言ったばかりではありませんか?」というご指摘がありそうなので、もう一度、言います。

「幸せ」という名の絶対的な現象は、地球上に存在しない。しかし、「幸せ」という名の現象が存在するときがあります。

 どういうことかというと、「私」が「幸せ」だと感じた瞬間に、「幸せ」という現象があらわれるのです。

「私」が「幸せ」だと決めたとき、それが、その人にとっての「幸せ」になります。

 つまり、「幸せ」という現象は、個人にのみ帰属するものであって、他人が口をはさんだり、意見を言うべきものではないということです。

「幸せ」は、「幸せを感じた人にのみ存在する」という構造になっているようです。

 Aさんが「幸せ」を感じたとき、Bさんが「幸せ」を感じたとき、間違いなく「幸せ」は存在します。

「幸せ」は、その人にとってのみ存在するのであって、「すべての人に共通する幸せは存在しない」ということが、宇宙構造のもっとも重要な部分らしいのです。

 たとえば、1日中汗をかいて仕事をした人が、冷たい水をひと口飲んで「あー、幸せ」と思ったとき、その人にとってのみ、「幸せ」が帰属します。

 のどが渇いていない人にとっては、「幸せ」ではありません。1日中汗をかいて仕事をしていたからこそ、冷たい水のひと口に「幸せ」を感じたのです。

「幸せ」を感じようと思えば、100や200の幸せが、身のまわりにあることに気づきます。

 目が見えること、耳が聞こえること、呼吸ができること、自分の足で歩けること、家族がいること……など、「私」が「幸せ」だと思えば、すべてが「幸せ」になるはずなのです。

 目の前の現象について、「私」が何も感じなければ、ただ通り過ぎるだけの現象にすぎません。ところが、私がその現象を「幸せだ」と感じたら、その瞬間に幸せになるのです。

「幸せ」が見つからないと言っている人は、「幸せ」を感じる心を動かしていないだけかもしれません。