梅田圭・みずほ信託銀行取締役社長みずほ信託銀行の梅田圭社長 Photo by Manami Yamada

ここ数年、売買価格が1000億円を超える超大型の不動産取引を手掛けてきたみずほ信託銀行。不動産事業の強みを生かし、2023年は上場企業のPBR1倍割れ対策のための不動産コンサルティングの引き合いが大幅に増えた。さらにその延長で、株主との対話を支援するIR・SRコンサルティングもニーズが高まっているという。足元の状況と24年の見通しを、梅田圭社長に聞いた。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

衰えない企業の不動産活用ニーズ
PBR1倍割れ対策で相談件数は急増

――2023年、PBR(株価純資産倍率)1倍割れ対策のために、保有する不動産の活用ニーズが高まりました。足元の状況はどのように推移していますか。

 以前から不動産に関しては、主に財務を改善したいお客さまに対してコンサルティングを提供してきました。ですが、今年は圧倒的にPBR改善のための相談が多かった。件数は、本当に桁が違うほどでした。

 コスト・オブ・キャピタル(資本コスト)を上回るリターンを上げていくためにはどうすればいいか。さらに、それらをどのように投資家に打ち出していくかという、IR(インベスターリレーション)やSR(シェアホルダーリレーション)まで含めた統合的なアプローチがわれわれの強みです。

 24年も現業で使っている不動産、あるいは遊休不動産について、アセットコントロールをしたいというお客さまのニーズはまだ増えてくると思います。

――23年の株主総会では、株主提案数は過去最多となるなど、上場企業に対する株主の目も厳しくなっています。IRやSRは、アクティビストが活発に活動していることもあって、ニーズが増えそうですね。

 われわれがフォーカスしているのは、“平時”のコンサルティングです。