窓から分かるその場所の価値観
まず、窓とその枠の形状が当然、目に入ってきます。長方形、上の部分が三角形、あるいはアーチ状とさまざまにあります。この形の違いがどういう理由によるのかなど考えることもなく、ただ窓を眺めて、気になったものはスマホで撮影します。
同じ建物であっても窓の形状が異なり、その形状の適用に規則性があるのに気がつきます。あるケースでは2つのパターンが交互に採用され、あるケースでは階によって変化がつけられています。
ベランダにも目がいくようになります。古い建物の場合、正面玄関の上にある2階や3階に最も立派なベランダが構えられていることが多い。ベランダの床下を道路から見上げると、そこには彫刻があったりします。全体が4-5階の建物の場合、
逆に、地階や最上階は、窓が高く取られていません。おそらく部屋の天井も低くなっていて、かつて使用人などが住んでいたことが推察できます。今はロフトとして人気のある屋根裏部屋も、当然ながら建物の主人が居るところではなかったのです。
一般的には建物のグレードによって、住む人の地位が決まるという印象があります。しかし、ミラノの重厚な石造りの建物の窓をつぶさに観察すると、かつては同じ建物に身分の高い人と低い人が住んでいたことが分かります。また、ひとつの通りの建物に共通して似たような彫刻が施された外壁があるケースもあります。複数の建物を一人のオーナーが所有していた痕跡かもしれません。