将来的には「ファンからの支援」もビジネスに

 アルのユーザー数などは非公開。古川氏も「成長に時間のかかるサービスだ」としている。アリフィエイトなどは一部導入しているが、明確なビジネスモデルは明らかにしていない。

「(ビジネスは)どうするんでしょうね(笑)。でも、『やりたくない』ということは明確にあります。サイトに広告を掲載して、ただページビューを稼いでもうける、ということはやりたくない」

「カゴメの売り上げの3割が、上位2.5%のユーザーによって支えられているという話を聞いたことがあります。強烈なファンが毎日、数百円の商品を購入しているそうです。同じように、企業も個人のように“応援される存在”になっていくと思っています。たとえば野球チームもそうですし、D2C(Direct to Consumer)ブランドもそう」

「極端にいえば、ユーザーに毎月1000円払ってもらってサービスに対する意見を求める『アル開発室』のようなものがあってもいいと思います。1万人集まれば売り上げは月1000万円。これだけのファンがつくと、開発側もサービスをよりよく変えていかないといけないというプレッシャーになります」(古川氏)

“マンガファン”の投資家から2億円の資金調達

 同社は6月11日、ベンチャーキャピタルのANRI、East Ventures、ABBALabおよび株式会社にしのあきひろ(絵本作家・タレント西野亮廣氏のオンラインサロンなどを運営)、片桐孝憲氏(DMM執行役員、pixiv創業者)、中川綾太郎氏(newn代表取締役、ペロリ創業者)および1社から、合計2億円の資金を調達したことを明らかにしている。

 出資者は古川氏と公私ともに交友関係のある投資家、起業家が中心。いずれもマンガ好きで、ビジネスとしてマンガやエンターテインメント業界に関わっている人物ばかりだ。

「今後AIによって仕事が減っても、収入が増えるわけではありません。ですが、労働時間は減るはずです。労働時間が減れば時間に余裕ができる。エンタメはそこで強くなる領域です。そしてエンタメの中でも“ハマる”のは、スポーツのように『人を応援する』というものです。たとえば西野(亮廣)さんはそこに何年も前に気付いて、(クラウドファンディングやサロンなどを通じて)自分の物語を売ることにした方です。そういう方も含めて、出資者は総じて『マンガっぽい人』たちだと思っています」(古川氏)

 アルは今後、調達した資金をもとにサービスやマーケティングを強化していく。調達の発表とあわせて、Androidアプリも公開した。