実際、スタジアムが2月8日週とその翌週以降の週の問い合わせ件数を比較したところ、22倍に急増した。スタジアムが1月28日からウェブ面接ツールの無償提供に乗り出したこともあるが、「クルーズ船で患者が増え続けているという報道の影響か、2月10日以降で急に引き合いが増えた」と、スタジアム執行役員の前澤隆一郎氏は語る。
「当初は『ウェブ面接を導入したい』という問い合わせばかりでしたが、リクナビが合同説明会の中止を発表した2月17日以降は、『面接だけでなく、説明会もウェブでやりたい』という声を多数いただくようになりました」(前澤氏)
ウェブ面接は“コロナ特需”で流行するのか
ウェブ面接の導入検討は、誰もが知っているような大手企業で特に多い。三井住友銀行などはすでに、コロナ対策として先輩社員と就活生が話せるリクルーター面談をウェブに切り替えている。
前澤氏も「何もしなくても応募者が集まってきたような人気企業は、これまでウェブ面接を導入する必要に迫られていませんでした。ですが今回のコロナウイルスの影響で、一気に導入が進みました」と語る。
インタビューメーカーには、今回無償提供している「ウェブ面接」の機能以外にも、有料でさまざまな機能が存在する。録画データから相手の思考や感情を分析できる機能、面接中の会話が自動で文字起こしできる機能、内定後の活躍から落としてしまった逸材を発掘する機能など、AIやデータ分析を駆使したものが多い。
どうしても属人的で主観的な判断をしてしまいやすい採用活動の中では、意外と対面でなく、ウェブの方がテクノロジーの力を借りられてフェアな選考ができる側面もあるのかもしれない。事実、コロナ対策でインタビューメーカーを試験的に導入した企業のうち、1割強の企業は有料のプランに切り替えている。
ウェブ面接を通過するコツは「環境整備」
ウェブ面接が急増することで、対応を迫られるのは企業だけではない。学生も同様だ。実際取材をしていくと、不慣れなウェブ面接で失敗してしまったという声も多い。「カメラ有りのウェブ面接だったのに電話面接だと勘違いして、寝起きでパジャマを着たまま人事担当者と顔を合わせてしまった」という珍事件まで起きてしまっている。
前澤氏は「ウェブ面接で通過するためのちょっとした“コツ”がある」と言う。余談にはなるが、最後にそのコツについて紹介する。
「相手にどううまく伝えるか以前の問題で、ウェブの場合は使う端末とブラウザ、ネットワーク環境が一番大事です。これによって、納得のいく面接ができるかが、ほとんど決まります」(前澤氏)