クロスオーダーの発注画面。飲食店はLINE上で欲しい食材の数量を選択するだけで注文ができる「クロスオーダー」の発注画面。飲食店はLINE上で欲しい食材の数量を選択するだけで注文ができる 提供:クロスマート
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 創業者で代表取締役の寺田佳史氏は、新卒で入社したサイバーエージェントグループでヘルスケアメディア「Doctors Me(ドクターズミー)」の運営に携わった。

 Doctors Meは2017年にアドメディカが買収したが、「ゼロから事業を立ち上げたい」という思いから2018年にスタートアップスタジオを運営するXTechに転職。新規事業を企画し、カーブアウトするかたちでクロスマートを創業した。

 事業領域を作成した際に注目したのは、2018年に東証マザーズ市場に上場したMマート。同社は業務用食材などを業者間で売買するための、BtoB向けプラットフォームを展開している。寺田氏もBtoB向けのコマース事業についてヒアリングしていったが、その中で「飲食業界のデジタル化」をテーマにした事業を立ち上げようと計画した。

 飲食業界関係者100人以上にヒアリングをした結果、「新たに取引する卸売店を探すのが困難」「受発注をはじめとしたバックオフィス業務の負荷が高く、いつも作業に忙殺されている」といった声が挙がってきた。特に業務負荷が大きいのは、飲食店とやりとりする卸売業者だ。彼らの業務をデジタル化することこそが勝機とにらみ、サービスの開発を進めた。

「飲食店の中には自社ホームページを持っていなかったり、ウェブでの発注ができなかったりすることが少なくありません。そのため、卸売業者は飛び込み営業や電話、FAXで注文を受け付け、手作業で整理するために時間を割かなければなりません。アナログな雑務が多く、若者からの人気も下がっており、近年は人材の獲得も困難になっています」(寺田氏)

 卸売業者の販路拡大支援を目的として2019年4月にリリースした最初のサービスが、飲食店と業者のマッチングサービス「クロスマート」だ。納品してほしい食材を登録した飲食店と、その商品を取り扱う卸売業者をマッチング。価格に合意すれば、直接取引できるという仕組みだ。このサービスを利用することで、飲食店は食材調達のコストを削減できる。また、業者はこれまで自分たちでは開拓できなかった顧客の獲得を実現できると寺田氏は語る。現在は月に数十件の飲食店が新たに登録しており、徐々にではあるが、サービスの認知が広がっている段階だという。

「深夜の大量FAX」、入力の負担を軽減

 そんなクロスマートが第2弾の製品として開発したのがクロスオーダーだ。サービス提供の背景について寺田氏は、「アナログな業務の中でも、特に受注業務が卸売店の活動を大きく圧迫する存在だった。それを解決したいと思ったから」と説明する。