「もちろん目標はありますが、お客様に楽しんでもらうことが一番なので、買ってもらうことよりも“入りやすさ”を意識しています。まずはあらゆるコスメと出合ってもらえる場を作ることで、ブランドとお客様がつながるハブになれたらうれしい」(遠藤氏)
アイスタイル創業時からの悲願
アイスタイルといえば、化粧品口コミサイト「アットコスメ」の印象が強い。今やアットコスメは、日本の20~30代の過半数が利用する国内最大の口コミサイトとなっているが、元々口コミメディアを作りたかったわけではない。
実は創業当初から、商品情報と顧客情報のデータベースを使って、リアルとデジタルをバーティカルに融合させた化粧品ビジネスをすることを目的に掲げていた。その最初の一歩として、データを集めるために始めたのが、口コミサイトのアットコスメだったのだ。

2002年からは口コミサイトで集めたデータを活用し、消費者視点を取り入れたECサイト、2007年にリアル店舗を開始。今では、EC事業でも正規品のみを取り扱うECサイトとしては日本最大規模となった。リアル店舗は、アットコスメストア新宿店が年間15億円の売り上げで、化粧品専門店としては日本一となっている。
今回のアットコスメトーキョーの出店は、リアルとデジタル双方でこれまで培った知見を生かし新しい体験を生み出す場となっている。アイスタイル創業からの目的達成に近づく大きな一歩だ。
“迷路”のような空間設計
アットコスメトーキョーの1階中央には、過去に殿堂入りしたアイテムや直近のベストコスメアワードを受賞した商品を列挙した「ベストコスメアワードタワー」を設置。口コミサイト運営の実績から、消費者のリアルな意見をデータベースとして持つアットコスメにしかできない並べ方だ。

さらに、ライブ配信スタジオも用意しており、今後はインフルエンサーを出演者として呼び、SNSでライブ配信を予定している。
2階は、ビューティテックコーナーを取り入れており、パナソニックが開発したセルフ肌診断機器「ビューティーミラー」や肌状態を測定することのできるウッドランプを試すことができる。
そして3階は、アプリユーザー限定のイベントスペースだ。商品を売るだけでなく、アットコスメのファンに情報発信する場所を用意しているのも特徴だ。
売り場を設計する上でこだわっているのは、百貨店やデパートで見られる直線的な通路を基調にしたものとは異なる“迷路”のような空間設計だ。