◆新刊のお知らせ◆
団塊世代が75歳以上の後期高齢者になって医療ニーズが激増する「2025年問題」を見据え、国が進める病院の再編や統合により、「私たちの町から病院が消える」未来がやってくる?
医療のIT化、オンライン診療、予防医療の現在位置まで、様々な課題や可能性を抱える日本の医療について説いていく。
≪著者からのメッセージ≫
ここ数年にわたる新型コロナウイルス感染拡大は、医療や健康に対する人々の意識に大きな影響を与えました。個々人の健康や病気予防への意識が高まるのと同時に、「医療のあり方」にも改めて注目が集まっています。
国や医療界ではコロナ禍以前から、団塊世代が75歳以上の後期高齢者になって医療ニーズが激増する「2025年問題」を見据え、地域医療構想などの施策を推進していました。
ただ、今回のコロナ禍によって事態は急変。受け入れ病床の逼迫や医療従事者の不足などによる医療崩壊の危機が懸念されるなど、2025年問題が前倒しで発生している状況に陥ったのです。
そのため、「医療機関のあり方の見直し」や「適切な医療提供体制の構築」は、"待ったなし"になりました。医療は今、まさに大きく変わらなければならない転換期を迎えていると言っていいでしょう。
いつの時代においても、医療は私たち一人ひとりにとって何よりも大切な命と健康を守るために必要不可欠なもの。
その医療がターニングポイントに直面している今だからこそ、「医療はどういう現状にあり、どういった課題を抱え、どう変わり、どこへ向かおうとしているのか」に関心を向け、高い意識で向き合うことが、すべての人にとって非常に大事なのではないでしょうか。
本書『病院がなくなる日 20××年、健康大国日本のリアル』では、「医療の今とこれから」を5つの側面から検証・考察していきます。
1つ目は「病院がなくなる日」という本書のテーマにも通じる「病院の再編・統合」に関する側面について記述しています。
2つ目は日本の医療の課題として常に指摘される「医師不足」について、その理由や実情、今後の医師のキャリアのあり方などの考察です。
3つ目は世界的な流れとなっている「未然に防ぐ」ための「予防医療」に関して記しています。
4つ目の視点は、医療の主役である「患者」です。医療の主役は「患者本人」というスタンスからの、患者に求められる当事者意識の重要性について解説します。
5つ目は、超高齢社会を「多死社会」と捉え、誰もが必ず直面する人生の「終末期」における医療に関して記述します。
病院がなくなる――それは「医療が大きく変わる」ことを意味します。そして私たちにとって医療が変わることは「命や健康の守り方」が変わるということでもあります。誰にとっても、決して他人事ではないのです。
自分が病気になったとき、自分の大切な人が病気になったとき、医療はどんな形で向き合ってくれるのか。どんな形で手を差し伸べてくれるのか。
医療の行方に関心を向けることは、自分の健康に意識を向けることにほかなりません。
まずは、知ることから始めていただきたいと思います。いきなり難しい書籍や専門文献などを読む必要はありません。最初は広く、浅く、身近なことからでかまいません。
「どうして、病院を減らさなきゃいけないんだろう」
「病院再編になったら、ウチの近所の病院はどうなるんだろう」
「スマホで薬を買えるのは便利だけど、薬局は大丈夫なのかな」
こうしたちょっとしたことがきっかけになって、関心や興味は広がっていくものですから。
本書『病院がなくなる日 20××年、健康大国日本のリアル』も、医療の現在位置と今後の針路についての「関心の入り口」になればと思って書いたものです。ぜひ、有効活用していただきたいと思います。
石川雅俊(いしかわ・まさとし)
医師・博士(医療福祉経営学)・修士(公衆衛生学)/日本維新の会 東京都4区(大田区)支部長
1979年静岡県湖西市生まれ。2005年筑波大学医学専門学群卒業。卒業後、臨床研修を経て、KPMGヘルスケアジャパン株式会社に参画、2012年マネジャー。2014年より国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授、厚生労働省医政局総務課課長補佐、ハーバード大学武見フェロー、まめクリニックグループ(夜間・土日診療10拠点)代表、神奈川県顧問等を経て現職。複数のスタートアップの顧問、東京医療保健大学特任教授等を兼務。ジョンズホプキンス大学公衆衛生大学院修士。