「おそらく法律違反という認識がないのでは。法人として自転車販売店を営んでいるところはまず取り扱っていない。個人売買とか、自転車店に見せかけて通販しているところで購入する人がいるのではないか」

 自転車メーカーへのユニット供給のシェア上位はシマノ、ヤマハ、ドイツのボッシュなどのトップメーカーで、改造は容易にできないように開発されている。しかし、始めから改造を目的とした個人向けのユニットも出回っており、これらも違法e-bikeが増加している一因となっている。

「すぐに摘発されるかなと思っていたが、警察も見分けがつかないためか、なかなか違反として検挙されない。無免許運転となるので道路交通法の違反としては重大なはずで、仮に事故などを起こした場合は保険が適用されない可能性がある。乗っている人はそのあたりのリスクが分かっていないと思う」(田渕店長)

違法e-bike、
増加の要因は?

 2023年7月1日、状況はさらに混沌としてきた。改正道路交通法の一部が施行され、前述の合法/違法e-bikeとはまったく別に、「特定小型原動機付自転車」が加わったのである。ペダルは足を乗せるためにあるだけで運転免許不要、ヘルメットは着用努力義務という新しい交通ルールが適用された。通常は車道を時速20km以下で走行し、歩道であっても時速6km以下なら走行してもいい。

「都市部の新しいモビリティ」として打ち出された電動キックボードとカテゴリーは同じで、それに座席をつけてしまえと考え出された。スロットルを回すと動き出す。いうなれば「漕がなくていい電動自転車」だ。すでに大手シェアサイクル会社の「ハローサイクリング」が導入し、自治体も利用を推奨している。

「違法e-bikeが歩道を走る」無法地帯と化した道路の“危険すぎる現状”禁止される国も出てきた電動キックボード(画像はイメージです) Photo by PIXTA

 懸念されるのは、歩行者優先が原則の歩道などで接触事故が発生することだ。電動キックボードは5年ほど前から、欧州をはじめとした海外の大都市が先を争って導入したが、都市部の交通事情が大混乱して社会問題となった。すでにフランスの首都パリでは、住民投票によって9割が電動キックボードの無法化に反対。公共の電動キックボードのレンタル利用は8月から禁止となっている。他の都市も同様の動きが見られる中、日本ではこれに逆行して7月から始まった。

 日本の都市部の過密度からいって、歩道での接触事故は容易に予想できるはずなのに。