ホンダの起源「バタバタ」が
AI自転車に進化して未来を彩る

「違法e-bikeが歩道を走る」無法地帯と化した道路の“危険すぎる現状”スマチャリの電動アシストユニット Photo by Kazuyuki Yamaguchi

 こうしてe-bikeは日本でも進化を続け、価格もかなり抑えられたモデルが登場。自動車メーカーのホンダが既存のスポーツバイクを後付けで電動化し、それをスマホで制御するシステム「スマチャリ」を開発。ワイズロードがそれを搭載したクロスバイク「レイルアクティブe」を2023年11月に発売した。

 ホンダの歴史は創業者の本田宗一郎氏が1947年に自転車に補助エンジンを付けた通称「バタバタ」から始まった。それに回帰するプロジェクトで、その現代版とも言えるのが今回の最新システムだ。スマチャリシステムにより、一部で見られる違法な後付け電動アシスト自転車とは異なり、後付けでも適法範囲内でのアシスト制御が可能となった。

「違法e-bikeが歩道を走る」無法地帯と化した道路の“危険すぎる現状”ホンダの起源ともいえる「バタバタ」 Photo by Kazuyuki Yamaguchi

 ホンダはこの電動部分をコントロールするアプリケーションを開発・提供する。スマホを活用し車体をオンラインサーバーとコネクテッド化することにより、速度や走行距離、消費カロリーといった走行データを表示・記録し、スポーツバイクライフがより豊かになる便利な機能を持つ。

 画期的なのは、市販されているクロスバイクに後付けで取り付けるということだ。厳密にはモーターとバッテリーを搭載するだけでなく、クランク(前方の歯車とペダル)を専用のものに付け替える必要はあるが、型式認定取得に新たな可能性を作った。これまでの認可団体のやり方は、元から電動アシスト自転車として開発された商品をテストして合否を決定するものだったが、電動化させる部品を後から取り付けても合格とした第1号となったからだ。

 スマチャリシステムは、型式認定を取得せずとも様々な自転車に取り付けて法規適合させられる仕様となっているため、ホンダとワイズロードは将来的に手持ちの自転車にモーターとバッテリーを取り付けて電動化する販売形態を目指したいという。

 世界の自動車市場はときすでにEV化。市場規模が自転車よりも格段に大きいクルマのために開発された最新技術が、小型化されたり効率化が進んで、それが自転車に落とし込まれてくるとe-bikeはさらに進化するのではと期待される。