「行動経済学」について理解を深めることは、様々なリスクから身を守るためにも、うまく目的を達成するためにも、非常に重要だ。『勘違いが人を動かす──教養としての行動経済学入門』を推薦する、東京大学大学院経済学研究科教授の阿部誠氏は、著書『大学4年間の行動経済学が10時間でざっと学べる』などで最先端の知見をわかりやすく紹介している。私たちは仕事や日常生活に行動経済学をどう活かせばよいのだろうか? 阿部教授にお話しを伺った。

【東大教授が教える】「仕事始め」に「絶対これだけは、やったほうがいい」1つのことPhoto: Adobe Stock

まずは現実的な目標を立てる

仕事始めの日に「今年の目標」を考える人もいると思います。職場によっては、上司や部下の前で発表することもあるかもしれません。

目標を掲げることで「コミットメント」につながり、実行する可能性が高まります。
また、目標に向かって計画を立てる「プラニング」にもなります。

ただし、目標と現実があまるにもかけ離れていると「どうせ無理だ」と思い、かえってやる気が失われてしまいます。

「できそうな目標ではなく、もっと大きい目標を立てなさい」と言われることがあるかもしれません。しかし実はそうやって無理やり立てた「大きすぎる目標」は、逆効果になる可能性が高いのです。

大きな目標を立てると、一瞬は「よし、やってやるぞ」と思うかもしれませんが、しばらくすると結局は諦めてしまいます。

そうならないためにも、「現実的な目標」を立てるべきです。

「目標」は人に話すことで実現する

目標を達成するコツは、人に話すことです。

たとえば職場の上司に「今年は〇〇を頑張ります」と告げるだけでも、他人に話したことでプレッシャーが生まれ、コミットメントが高まり、実際に達成できる確率も上がります。

「仕事始め」の日は、新しい目標を掲げるには良いタイミングです。

自分で立てた目標を、ぜひ誰かに宣言してみてください。

(本稿は『勘違いが人を動かす──教養としての行動経済学入門』の発売を記念し、東京大学大学院経済学研究科教授 阿部誠氏へのインタビューをもとに作成しました)