「年越しうどん」はやっぱり香川県!
群馬県、大阪府、秋田県でも!?
「うどん県」で知られる香川県では、やはり「年越しうどん」で1年を締める家庭が多いようだ。香川では、一般的なうどん店以外にも、うどん玉などを販売する製麺所や、製麺所の横に簡素なスペースを設けた製麺所併設型うどん店が非常に多い。業界団体「本場さぬきうどん協同組合」によると、大みそかには製麺所の売り上げが2~3倍になるそうだ。
なお、人気ドラマ「孤独のグルメ」に登場した名店「松下製麺所」(高松市)では、大みそかだけで5000玉を製造し、夕方には売り切れてしまうという。親戚が一堂に集まるような家では、うどん玉を10玉単位、ダシを大鍋単位で購入する。家で温め直して食べるのが、香川県の大みそかのスタイルだ。
他にも群馬県、大阪府、秋田県でも、「年越しうどん」を食べる家庭があるという。群馬県は小麦の収穫量が全国7位(農林水産省令和3年産麦類の収穫量)であり、「水沢うどん」や「ひもかわうどん」「おっきりこみ」などのご当地うどんが名物だ。ちなみに、小麦粉を使った料理になじみ深いせいか、「高崎パスタ」というグルメジャンルを築いており、「はらっぱ」「シャンゴ」などの人気チェーンもある。ただし、「年越しパスタ」という人は、筆者が聞き込みする限り、見つからなかった。
大阪府は、周辺地域が小麦栽培に適し、北前船で各地から入荷される昆布とのなじみも深く、江戸時代からうどん店の方が多い土地柄だ。古典落語でも、内容がほぼ同様の演目が、上方で「時うどん」、江戸で「時そば」と呼ばれていることからも、うどんの方が市民権を得ていることが分かる。
ただ、これらの地域に共通しているのは「普段からうどんを食べているから、忙しい大みそかもうどん」という流れだ。「やっぱり大みそかは年越しそば」「普段はうどんでも、大みそかだけはそば」という人の方が、香川県以外は多いようだ。