「低金利バブル」も終焉を迎える可能性

 エジプト8.25%、インド7.75%、ブラジル7.25%、中国6.00%。これは各国の政策金利です。これに対して、日本は0.00~0.01%です。この金利は異常です。日本におけるゼロ金利政策は1999年当時の速水日銀総裁の発言からですが、今の金利は2008年12月からでもう5年以上続いています。

 このような背景のもと、デベロッパーの銀行提携ローンは変動金利だと1%を切る状態が長く続いています。ここ数年で分譲マンション購入の検討をはじめた人にとってはこれが当り前のようになっていることと思いますが、この異常事態を私は「低金利バブル」と言っています。

しかし、アベノミクスによりデフレが終わり、経済が良くなれば、この低金利も終わりを迎えることになります。

ちなみに元利金等返済・借入れ金利4%・借入期間30年で3000万円を借りると月額返済額は約143,000円となります。これが金利1%になると月額返済額は約95,000円にまで下がります。また月額返済額143,000円で金利1%だと4450万円も借りられます。金利が3%低いと同じ月額返済額でなんと1450万円の予算アップが可能となってしまうのです。反対に考えると、いまあなたが5500万円の物件をなんとか買えると思っていても実際は4000万円の物件にしておかないと奈落の底に落ちるかもしれないということになってしまうのです。

 これからの先行きを資産インフレ、景気回復と読むならば、金利上昇も念頭に入れなければなりません。これから購入する人は長期の固定金利での借り入れ、また既に購入して変動金利でローンを組んでいる人も固定金利での借り換えを検討する必要があるのです。

「マンション価格上昇」という報道では動かない

 以上のように、消費税アップでマンション価格は上昇しません。それ以外でマンション価格に影響のある要因について述べてきましたが、最後にひとつ注意点を。それはマンションの価格動向や契約率に関する報道をもとにマンションの購入を開始するのは注意が必要です。

 マンションの市場動向に関する報道は、あくまで「過去」のことに関することにすぎません。決して先行きをしめすものではないのです。また。公示地価や基準地価などの公的指標も同様です。

 以前マンション市場動向に関して週刊誌の取材申込があったので、記者になぜその取材を申し込んできたのか聞いた所「編集長に『最近マンション売れているらしいから取材してこい』と言われました」とのことでした。こんな具合に申し込んできた取材の記事です。お粗末なものでした。信用できないなと思いました。

 上記の例はかなり極端な例ですがマンション市場そのものに関する報道よりも、マンション市場に影響を与える「金融政策」、「経済政策」、「金利動向」、「税制」などを注視して下さい。

 それが、マンション購入成功への道の第一歩なのです。

次回は、「『買った瞬間儲かるマンション』は存在します。そのわけは?」

次回第2回は、4月3日更新予定です。


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