金利上昇で「経営が危うくなる」鉄道会社・路線は?“マイナス金利解除”の衝撃迫る東葉高速鉄道 2000系 Photo:railway memory/PIXTA

東葉高速鉄道、北総鉄道、京都市営地下鉄…マイナス金利が解除され、金利が上昇すれば、運賃収入で稼いだ利益が有利子負債の利息支払いで吹き飛び、中には「資金ショート、経営破綻する」と予想される鉄道会社もある。どんな共通点を抱えているのだろうか。(乗り物ライター 宮武和多哉)

2024年は金利上昇の局面に
多額負債の鉄道経営にも影響大

 日本銀行は、大規模な金融緩和策を維持することを決めた。植田和男総裁は12月7日の国会で「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と答弁していたが、その意図は「仕事に対する姿勢」だったと、お茶を濁すような言及にとどめた。近々に利上げに踏み切る可能性は薄れたが、2024年はいよいよマイナス金利政策の解除が検討されるとの見方が大半だ。

 設備投資による有利子負債を多く抱えがちな鉄道会社は、こうした金融政策の動向を胃が痛くなる思いでチェックしていることだろう。金利上昇が支払利息の増加に直結し、財務状況が大きく悪化しかねないからだ。

 特に、日本鉄道建設公団(以下:鉄建公団、現在のJRTT)が建設し、自治体が主要株主となって運営してきた「都市圏の第三セクター系私鉄」各社は、金利上昇の影響をかなり受けそうだ。

 各社は「建設費用の返済」という名目で数百億~数千億円規模の長期債務残高(有利子負債)を開業当時から抱えており、分割返済によって生じる支払利息も毎年数億、数十億円単位で生じている。金利が上昇すれば、利益が利息の支払いで吹き飛ぶ恐れがあり、中には「金利の動向次第で破綻する」と予想される会社もあるほどだ。

 都市部の第三セクター系鉄道会社の多くが、朝晩を中心に通勤・通学の利用者が多く、運賃収入が少ないわけではない。にもかかわらず、なぜ各社は利息の支払いに四苦八苦するほどの有利子負債を抱えているのか。