利上げを警戒している
京都市営地下鉄とりんかい線
利上げを警戒している鉄道会社はまだある。いずれも旧・鉄建公団の「P線方式」スキームで建設され、建設費用が大幅に上振れし、事前の需要予測が甘く、利益が出ないまま負債の支払いに迫られるなど、ほぼ共通の事情を抱える。
京都市で地下鉄を運営する京都市交通局も、有利子負債の返済・利息支払いに苦しんでいる。京都市営地下鉄東西は整備時期がバブル経済のピークと重なり(1997年開業)、埋蔵文化財の発掘調査や下水道の移設調査漏れというミスもあって、建設費用が想定から2.5倍に膨らみ、6483億円かかった。その後の経営再建で、有利子負債は5231億円(2008年)から3737億円(20年)にまで減少したものの、利息の支払いには50億円弱もかかっている。
しかも、東西線は乗客が少ないという致命的な課題を抱えている。そして、京都市はそもそも財政難。その一因でもある地下鉄に対して、今後の支援はあまり望めないだろう。
JR各社から乗り入れる「りんかい線」を運営する東京臨海高速鉄道も、社債などを含めて1000億円以上の有利子負債を抱えている。ただ、同社の有利子負債の返済は(コロナ禍で停滞したものの)年間100億円ペースで進んでおり、利息は22年度に4.5億円まで減少。利上げの影響を受ける前に、どこまで負債を圧縮できるか見ものである。
なお、鉄道会社の中には、利上げによる恩恵を被る場合もある。JR北海道、JR四国、北越急行(新潟県)などのように、収入の少なさを補う「経営安定基金」を創設している場合は、利上げによる運用益の上昇で、収入の増加が期待できるかもしれない。