国や自治体主導で
抜本的な施策が必要か
地域の交通インフラを担う鉄道会社が、利益が出てもひたすら負債の利息支払いに充てていては、沿線住民や自治体にも悪影響を及ぼす。最たるものが「高額な運賃」だ。東葉高速鉄道は西船橋駅~東葉勝田台駅間(16.2km)の運賃が640円と、JRの首都圏路線の2~3倍水準の運賃である。
一方、北総鉄道は22年に大胆な値下げに踏み切った。通学定期を最大64.7%引き下げ、初乗りも最大100円値下げするなど全体で15.4%の運賃値下げを実施。理由は、「成田スカイアクセス」など空港線の好調によって収益が改善し、22年度には累積損失が解消するめどが立ったからだ。
なお、東葉高速鉄道が、同様の値下げに踏み切ることは相当難しいだろう。繰り返しになるが、もし、利息支払いが増加すれば、2社とも利益の大半が吹き飛びかねない。そうなると東葉高速鉄道は繰り上げ返済が遠のき、最悪の場合、資金ショートからの経営破綻。北総鉄道は「せっかく値下げしたけれど、維持できなくなって値上げ」なんて展開も否定はできない。
利用者メリットにも働き手の待遇向上にもならず、利息が企業体力をただただ食いつぶす前に、国や自治体主導で債務を軽減・解消するための抜本的な施策が必要なのではないか。そのような対策を打つのであれば、今が最後のチャンスであることは間違いない。