「こんなに利益が出たのに、手元に残るお金はわずか」
経営者なら、誰しも一度はこう思うはずです。だからといって、小手先の節税に躍起になってはいけません。会社のお金を1円でも多く残し、そのお金を会社の投資にまわし、会社をより成長させる。それこそが経営者の仕事です。
本連載は、「1円でも多く会社と社長個人にお金を残す方法」を学ぶものです。著者は、財務コンサルタントの長谷川桂介氏と公認会計士・税理士の黒瀧泰介氏です。インボイス制度、各種法律に完全対応の『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』の著者でもあります。経営者の超リアルなお金の悩みに対し、あますところなく解決策を提示した1冊になっています。

「白色申告なら税務調査は来ない」は本当なのか?Photo: Adobe Stock

白色申告でも、帳簿はつけなきゃダメです!

 個人事業主の確定申告には、白色申告と青色申告の2種類があります。何もしなければ、自動的に白色申告になります。

 さて、ここで解いておきたい誤解がひとつあります。

 かつての白色申告は、事業所得が300万円以下であれば帳簿をつける義務がありませんでした。しかし法改正によって、2014年1月以降は、すべての白色申告者に記帳と帳簿類の保存が義務づけられています。

 そのため、「楽だから」と白色申告を選択するメリットは、以前に比べて少なくなりました。白色申告でも、青色申告でも、帳簿はちゃんとつけないといけないということです。

白色申告でも、税務調査は来る!

 また、「白色申告だと税務調査が来ない。自分はちょっときわどいラインで節税をしているから、白色申告のままでいいんだ」と言う人もいますが、「白色申告だと税務調査が来ない」は残念ながら、都市伝説に過ぎません。

 白色申告を選択している事業者のほうが、青色申告をしている事業者よりもまだまだ多いのが現状です。怪しい申告に対して税務調査に入った件数があったとしても、割合としてはかなり低い数字になります。そのために「白色申告だと税務調査が来ない」なんて都市伝説が生まれたのでしょう。

 白色申告なら何をしてもセーフ!……なんてことはなく、白色申告でも税務調査は来るのです。

 白色申告の税務調査については、ポイントを絞って簡易的な調査(日数や調査時間が短い調査)が行われることも多いため、青色申告の事業者の税務調査と温度感が少し異なる傾向にあります。

(本原稿は『今日もガッチリ資産防衛――1円でも多く「会社と社長個人」にお金を残す方法』から一部抜粋、追加加筆したものです)