情報はノートへの「一元化」「時系列」で
行きたい場所、気になったものなどの記録は、一冊のノートに前から順に書いていくだけでいいでしょう。何冊も使い分けると、その分け方を考えなければならないし、持ち歩くのも面倒です。一冊にしたほうが気軽に続けられます。
海外のお城の写真のあとに、日本のお寺や仏像の記述があるのは、おかしい気がするかもしれませんが、「自分の関心」という共通項で集めていくと考えてください。情報が一カ所に集まることで、思わぬ発見をすることもよくあります。
たまったノートをぱらぱらと見ていたら、なぜかイスラム寺院の写真が多いとか、熊野古道の記事を一年前にも切り抜いていたといったことに気がつく。すると、「自分はこういうデザインの建築が好きなんだな」「どこか静かな森の中を歩きに行ってみようか」などと考えることにつながるわけです。突然「どこに行きたい?」と聞かれても、なかなか答えるのは難しいものですが、ノートを作っていれば、自分の心が求めている景色がだんだんわかってきます。
つまり、この段階の主眼は「醸成」です。また、ノートに書き込んだり、切り抜きを貼り付けたりする作業を通じて、「手で考え、体に刷り込む」という側面もあります。地名を書き、写真を切り抜いて貼り……と、実際に手を動かして情報をストックしておくことで、自分とその土地との「関係性」が生まれるわけです。
いったんノートにストックした土地のことは、なかなか忘れないし、たとえ忘れてもちょっとしたきっかけで思い出せる。深層心理に刷り込むような効果があるのです。ノートに書いたなら、もうそこは「縁もゆかりもない土地」ではなくなります。
散歩ノートは、「一元化」「時系列」で使います。だから、結果的に「行きたい場所」のメモと「実際に行ってきた記録」のページが離れたり、別のノートになったりしますが、あまり気にしないでください。「行きたい場所の記録」は、好奇心を広げ、行きたい土地のことを自分の意識に刷り込むための行為で、「行ってきた記録」は、体験したことをより楽しむためのものです。この二つを一カ所にまとめる必要はありません。