「集団行動がどうしても合わない人には特徴があります」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)

「集団行動がどうしても合わない人」の5つの特徴Photo: Adobe Stock

集団行動が苦手な人の特徴とは?

「自分はこの仕事に向いてないかも……」

 そう思って何度転職しても、新しい職場でもすぐにうまくいかなくなる。
 そんなふうに、どこの職場でも馴染めず、仕事そのものに向いていないと感じてしまう人もいるでしょう。

 仕事よりも「集団」での仕事が合わない、人一倍苦痛に感じてしまうのかもしれません。
 そんな、集団に合わない特徴について5つにしてまとめました。対処法についても紹介しましょう。

感受性が強く、人目が気になる

 どんな人でも他人の視線は気になるものですが、そんな視線の「感じ方」には個人差があります。

 視線の感じ方にはその人の意識が影響していて、自分以外の他人に向ける意識が強い人ほど視線に敏感になってしまいます

 たとえば長距離をマラソンしているとき、肩で息をするほどに疲れていると他人を意識する余裕がなくなるので、視線を気にする感受性も低くなります
 そんなふうに感受性を抑えるためには、意識の切り替えが必要になります。

内向的で人付き合いが苦手

 どんな人でも好き嫌いがあります。
 人と関わることが苦手な人は、そもそも集団でいることに人一倍の苦痛を感じてしまいます

 そんな人が接客業など、人と関わる機会が増える仕事をすると苦痛に耐えきれなくなってしまうかもしれません。
 そんな苦痛は、あなたの過去のトラウマや、人間への苦手意識のせいによるのかもしれません。

合理性を重視しすぎて感情が共有できない

「まわりが自分の思う通りに動いてくれない」
「もっと効率的なやり方があるのに、誰も耳を傾けない」

 そんなふうにすぐに周囲のネガティブな面、ダメだと感じる点が気になって、同じ職場で仕事を続けられないことはありませんか?

 長く続く組織や集団では客観的には非合理的に見えても、誰かとの歩幅や集団の和を保つためにあえて不自由なまま、というシステムが残ることがあります。

 そんな一種の非合理性が気になってしかたなく、減点方式がやめられない人もいます。
 組織や集団は人間が作るものですから、そこにはさまざまな感情が乗っかります。
 そんな感情面が合わせられない、我慢できないことで続けられなくなる人もいるのです。

音や臭いなどの「五感センサー」が強すぎる

 周りの人の作業しているときの音や声、体臭が気になって仕方がない。
 そんなふうに周りの変化に敏感な人ほど、環境からのストレスを強く感じるために仕事を長続きさせられません。

 そんな人は、警戒心が強すぎる傾向があります
 私たちは原始の世界で音や匂いを頼りに危険から逃れてきました。

 そのため、警戒心や猜疑心が強い人ほど、常に周りに木を配るようにして気を張ってしまい、ついつい疲弊しやすくなってしまうのです。
 そんなセンサーが強すぎる人では、警戒心を解くための安心感が必要になります
 職場で冷えは警戒心を高めるので暖かくしたり、耳栓やアロマ、マスクなどで感覚を鈍らせたりと、危険を感じるセンサーを少し緩めて安心感を与えてあげましょう。

「こだわり」が強すぎる

 周囲とすぐにケンカをしてしまう。
 そんな人はこだわりが強すぎて空回っているのかもしれません。

 誰しも仕事にはこだわりを持つものですが、それが誰にでも当てはまるとは限りません。
 伝達方法や道具の使い方、指示の出し方やシフトの体制など、仕事ではさまざまな「お願い」を受けることがあるでしょう。
 そんな理不尽さを感じてしまうと、途端に体調を崩してしまう人ではこだわりが強すぎて、それに振り回されていることがあります

 しかも、本人でもなかなか自覚できないことがありますので、毎年4月などの環境変化が起こりやすい時期、仕事や家庭の環境が変わる時期に決まって体調が悪くなる、そんな特徴がある人は要注意です。
 こだわりが強すぎると自覚できたときには、「自分は環境の変化に弱い」と認識して、その上で変化の大きい時期には自分を一層労わるようにしてください。

 以上の5つの特徴です。
 これらに共通することとしては、「気になりすぎる」という特徴です。
 音や視線、やり方など、人によってスイッチは異なりますが、体調を崩してしまうスイッチが人一倍多い人、敏感な人ほど集団での生活は難しいものになってしまいます。

 そんな集団に合わせられない自分のスイッチを把握して、作動しないように変化させる手法こそがメタ認知によって自分を知ることなのです。

(本稿は、頭んなか「メンヘラなとき」があります。の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)

精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医。
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。