過去には、急な出費が必要だからと、まるで闇金融のような法定金利を超えた融資を持ちかけてきたりする業者が現れたり、文化財や貴重品の鑑定士を名乗る者が来て所有物を買い叩かれたり、盗まれたりする事案もありました。少し時間が経つと、被災者を狙った新しい犯罪が出てくるので注意が必要です。
こうした何かの契約をする、あるいは融資の話を持ちかけられた場合、相手の顔写真付きの身分証を必ず見せてもらうということを欠かさないでください。詐欺に遭ったケースを分析してみると、「相手と連絡取れなくなった」とか「相手が偽名を使っていた」ということが少なくありません。偽の名刺を渡される可能性があるので、名刺では不十分です。必ずパスポートや免許証といった公的な身分証を見るようにしてください。「持っていない」などと言って本名を確認させてくれない場合は、怪しいと判断して契約や支払いは見送るようにしてください。
詐欺師のやり口として、契約を急かしてくることが挙げられます。今契約しないとキャンペーンが適用されないなどと言って、早く契約するように迫ってくるのです。例えば、「リフォームなどの契約を今日して手付金を前払いしてもらえば安くします」というイメージです。
あとはカードを読み込める決済端末が普及したことで、訪問したその場で前金の支払いを要求してくることもあります。引き落とされた金額が高額だったというケースもありました。
そのような場面に遭遇したときにすぐに支払いをするのではなく、誰か信頼できる人に一度相談するようにしましょう。特に、老いた親など騙されやすい人が家族にいる場合は、事前に共有したほうが良いでしょう。
また、避難生活が長期化すると、暴行事件が起こりやすくなります。蓄積されたストレスが何かをきっかけとして、爆発してしまうことが原因だと考えられます。暴行に巻き込まれないためには、常識的な生活をするということです。例えば、大声で話さないとか、電話は外でするとか、ゴミの出し方のルールを守るとか、ペットが人に迷惑をかけないようにするとか、普段から社会生活を送るうえで必要とされる配慮のことです。
平時であれば、こうした生活トラブルが暴行まで発展することは少ないですが、災害時という過酷な状況下では、些細なトラブルから暴力を誘発しかねません。普段よりも意識してルールを守ることが求められます。
被災者はただでさえ肉体的・精神的な負担が増しているのに、こうした犯罪にまで気を配らなくてはならないのは、理不尽としか言いようがありません。しかし、人が弱っているタイミングを見計らってやってくる非道な人間がいることも事実です。無事に避難生活を乗り切るためにこの記事を役立てて欲しい。被災者の皆さんが一日でも早く元の生活に戻ることを願ってやみません。