いつの間にか復活した企業献金
企業と自民党の恐ろしいほど根深い関係

 結果、政党交付金で賄うはずの政治資金は全然足りなくなり、個人献金を必死で集め、禁止されたはずの企業献金は政治資金パーティ(実際には企業がまとめてパーティ券を買って、社員個人の名前で1枚ずつ買ったことにする)という形で復活してしまいました。そして、いつの間にか巨額の裏金を作るということになってしまったのです。

「政治改革」を唱えたのは、あの小沢一郎や細川護煕。彼らは今、この弊害についてどう思っているのか。今回の安倍派の問題をどう考えているのか。反省の弁など、残念ながら聞いたことはありません。

 私は政治家(京都市議を40年、いわゆる地域ボス)の息子です。ですから、政治にカネがかかることも、企業と自民党の関係が恐ろしいほど根深いこともよく知っています。

 子ども時代、自宅で留守番をしているとサラリーマン風の男性が訪れ、「父は不在です」というと、菓子折りを置いていったものです。帰宅した父親が箱を開け、中の札束を見て「これは〇〇(某ゼネコンの名前)のやばいカネだ。返しにいく」とすっ飛んで出ていくところを何度も見ました。

 葬儀のときは、参列者が5000人。当時私はまだ30歳そこそこで、「どうやって葬儀費用を出そうか」とアタマを抱えていたら、翌日子分格の市議がやってきて、「葬儀屋さんの請求はいくらですか」と聞いてきます。確か500万円以上でしたが、翌日、パリッとした背広を着た京都財界のエライ方々が弔問に訪れてくれました。「永年お世話になりました」と置いていった菓子折りに、葬儀業者の請求額と同額のオカネが入っていたのには驚いたことがあります。

 たかだか地方市議でこの有様です。政治とカネの問題は、簡単に片づくものではないと私は知っています。

 だからこそわかるのです。岸田内閣が有識者を入れた政治資金改革をやるなどというのが、絵空事だということを。実際、政治刷新会議なるものが発足しましたが、当事者である安倍派の議員が多数参加しているというやる気のなさです。