政治資金と歳費、さらに文書通信交通滞在費などは、だいたい議員の事務所でごちゃ混ぜの経費となって扱われているのが現実です。サラリーマンの給料のように、歳費を全部妻に渡している国会議員などいないでしょう。ですから、資金の問題を整理しようと思えば、議員の給料の問題が絡んできます。そして、それは前述のごとく、選挙区の問題にも絡んでくるのです。

 だからこそ、もし本当に政治とカネの問題を解決したければ、議員報酬、議員定数、選挙区の問題を全部一体化し、議員以外の立場にある人たちが議論して改革案を決めない限り、お手盛りの議論で終わってしまうのは目に見えています。

日本と海外ではこれだけ違う
政治家の意外な給料事情

 しかし世界を見れば、議員定数も、報酬も、政治資金も、もっときちんと管理されている国が多いことも事実なのです。 

 まず、議員に給料が支払われていない国もたくさん存在します。英国は基本的に給与なし。経費として手当てや旅費などが支給されるだけで、従来は出席手当ても存在していましたが、今はありません。つまり名誉職という考えです。

 イタリアの場合は、出席に応じた日当が普通です(国によって上院、下院のような区別があるため、それによって給与が違うケースがあります)。フランスはもう少し複雑で、原則的には無給ですが、人口10万人以上の選挙区では手当てがあり、また必要経費も支給されます。フランスは3パターンの議員が存在しますが、基本的にはどれも活動に対する手当てのみが支給されます。

 スウェーデンの場合はもっと極端で、基本は無給で専業職でさえありません。委員長などフルタイムで議員活動をする人のみ、専業職としての給料が支払われます。ドイツには報酬がありますが、極めて少額で、あとは出席手当てのみが収入となります。そして米国の場合は日本と同様給料は支払われますが、上下院とも給与は17万4000ドル(年額)で、それほど高額とは言えません。

 いつも国会で居眠りばかりしている日本の国会議員に、出席手当てが必要なのかも疑問です。海外では議員定数は憲法で規定され、人口の変動によって主に下院が変動するというパターンが多いようですが、日本のように最高裁が何度も定数の不公平を裁定してもそれを無視したまま、自民党に有利な形で選挙を行ってから改定するなどという国は、そうはありません(以上は、国会図書館「調査と情報」などの調査による)。