通常、定年後は会社関係者との交流がぱったりなくなる中で、週1回以上も交流を続ける人が多いのは、定年後にも何らかの形で仕事を続けているためである。すなわち、人生100年時代を生きることには、シニアの就業もまた重要な要素であることがうかがえる。
勤務先に深くコミットはしないが
組織への忠誠心は高いシニア層
65歳以上でも就業している人の中には、会社役員や事業主である人も含まれ、NRI調査の回答者の中でも、3割強が会社役員や事業主に該当する。
会社役員や事業主は「自分の能力や専門性を高めることで社会的に認められたい」や「出世や昇進のためには、多少つらいことでも我慢したい」および「資格を取得したりして、自分の能力の向上に積極的に努めたい」などの向上心に関わる意識が強い傾向があり、今後の一般的なシニア就業を検討する上で、バイアスとなるため、本稿の分析対象からは会社役員や事業主を除外する。
また、団塊世代は就業者が少なく、調査上の回収サンプルが少なくなることから、ポスト団塊世代の就業者について詳細な分析を行うことにした。
ポスト団塊世代の就業意識は、65歳未満の現役世代と比較すると「自分の能力や専門性を高めることで社会的に認められたい」および「資格を取得したりして、自分の能力の向上に積極的に努めたい」等の向上心に関わる意識は自然と低くなる。
また、「会社や仕事のことより、自分や家庭のことを優先したい」も低くなるが、これは定年後のシニアの生活ではそもそもプライベートの時間にゆとりがあることを踏まえると、意識の面では子育て等も含め日々の生活が忙しい現役世代より低くなると想定される。
逆に、シニア就業者の方が高いのは、「たとえ収入が少なくなっても、勤務時間が短いほうがよい」「人並み程度の仕事をすればよい」であり、就業を日々の生活を充実させる要素と捉える意味では、現役世代より高くなることは自然である。
意外な結果であったのは、「自分の仕事の目的は会社を発展させることである」がポスト団塊世代の就業者の方が高いことである。