リーダーというのは、職場で部下や上司、同僚、顧客など、さまざまな人に対して気をくばらないといけない存在です。本稿では、部下に対する気くばりの具体的な例を抜粋して紹介します。
※本稿は、柴田励司『リーダーの気くばり』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を抜粋・編集したものです。
部下に声をかけて関心を示す
私は、そもそも「部下」という言葉は好きではありません。上とか下とかという関係性に依存しているので、そこには相互の甘えが生まれます。
部下に対して俺の言うことは正しいとか、俺のことは優先して当たり前だ、と思ってしまうし、部下は部下で、いざとなったら上がやるだろうと、相互に甘えが発生してしまいます。
上司も部下も、「同僚」です。
たとえば、新人が入ってきたとき、世の中的には確実に部下なわけですが、そうではなく「経験の不足した同僚」と捉えます。組織としては、上司としては、その新人の経験が不足しないようにしていくのがいいですし、快適な環境で働いてくれるほうが上司である自分にとってもいいわけです。ですから、何か困っているようなこと、心配そうなことを見かけたら、「どうした?」「大丈夫か?」と声をかけてあげるのです。そのチームがうまくまわっているかというのは、その中でいかにコミュニケーションがとれているかということです。
コミュニケーションの良し悪しは、一緒に過ごしている時間の量に比例します。
声がけをすることによって、共有する時間を持つことができます。特に自分が意識してやっていたコミュニケーションの方法は、自分と気の合わない人、普段会話の少ないような人と意識的に話すということです。
以前、再建企業の社長をしていた会社では、私のレポートラインにいる人間が5人いたのですが、5人の顔写真をマグネットにつけて、机に「話したゾーン」を設けて、毎日話した人をそこにもっていくということをしていました。すると、毎回同じ人が一番最後に残ります。この人が一番話づらいのだということがわかりました。そのあとは、その人と意識的に話すようにしました。同じことをやってみてください。話す頻度に差があることに驚くはずです。
部下を上手に叱る
部下を上手に叱る。リーダーにとって永遠の課題です。
相手がその叱る原因について、叱るに至ったことに関してどう思っているか、ということによると思います。自分がほんとうに失敗したなとわかっている人に強く叱責することはしないほうがよいでしょう。
ただし、わかっていない人には、本気で仕事に向き合ってもらうために本気で叱りましょう。その局面局所で、叱る側は、本気度を使い分けることが求められます。つまり、相手の様子を見ながら使い分ける。感情のおもむくままに怒ったりしてはいけないということです。