マジメすぎる日本人は
「Be Lazy」の精神で働こう!

 しかし、前述した7項目の「(5)時間や費やした努力よりも、アウトプットと生産性に重点を置く」にもある通り、重要なのは所要時間ではない。あくまで結果なのである。だからこそ、困ったときは試行錯誤に長時間かけるのではなく、優秀な仲間の助けを借り、素早く解決していい。「Be Lazy」の精神で働いていいのだ。

 なお、これは筆者の見解だが、本書では必ずしも「試行錯誤自体が悪手」と言いたいわけではないのだろう。本書の例では、ポールがプログラムの問題点を一発で見抜いた。だが、より複雑な問題の場合は、そのプロセスを何度か繰り返す必要も出てこよう。

 だからこそ、重要なのは「仮説→検証」を繰り返すことなのではないか。頭の中で論理的に、エラーの原因をいくつか考える。どの仮説が正しいのかを、優先順位に基づいて一つ一つ順に検証する。何番目かの仮説が正解で、エラーの原因を突き止められたならば、それは結局「最低限の努力」で済んでいる。これらは「正しい試行錯誤」だという見方もできる。

 どんな仕事でもそうだが、多くの人は大量のタスクを抱え込みがちだ。どれから手を付けていいか分からず「時間がない」と焦る。不安になり、いろいろな方法を試してみる。そうする中で、時間だけが過ぎていく。

 だが、困った時こそ「急がば回れ」である。深呼吸して、「最低限の努力」で済ませるにはどうすべきかを考える。このことが重要なのだ。

 優先順位はどうか。「捨てる」べきタスクは何か。絞ったタスクを、どう効率的にやっていくか。それらを考える時間を惜しんではいけない。不安だからと、やみくもに手を動かすのは我慢しよう。

 壁にぶつかった際は「仮説→検証」によって解決策を探る。どうにもならなければ、あっさりと仲間に頼っていい。「Be Lazy」の精神で働くのだ。

 これらを意識するだけでも、皆さんの仕事の生産性は確実に上がっていくはずである。

(情報工場チーフ・エディター 吉川清史)

情報工場
2005年創業。厳選した書籍のハイライトを3000字にまとめて配信する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」を提供。国内の書籍だけではなく、まだ日本で出版されていない、欧米・アジアなどの海外で話題の書籍もいち早く日本語のダイジェストにして配信。上場企業の経営層・管理職を中心に約8万人のビジネスパーソンが利用中。 https://www.serendip.site