しかし、仕事は自分がやりたいことや好きなことばかりではありません。やりたくないことであっても、やらなければならないことはいくらでも存在します。それは強制でも忍耐でもなく、義務というものです。
その意味が理解できているうえで、はじめて「肯定と承認」は成立するのですが、残念ながらその前提が備わっていない若手も少なからずいます。近年はその割合が増加傾向にあることもまた事実として認識しておいてください。
大切なのは「叱る」でなく
丁寧に「説明して、教える」
「今は昔と違って、若手社員のことを怒ってはいけない。それをやると一発でパワハラとして訴えられてしまう」
このような認識が職場で広まって久しくなります。若手に「バカ野郎!」「ふざけんな!」「なめてんのか!」と汚い罵声を浴びせる光景もほとんど見られなくなりました。
そんな汚い言葉で若手を脅しても状況は何も変わりません。むしろ明らかに若手社員の心に傷を与えるだけで、合理的な解決策は何も生まれてこないのです。上司や先輩は、まずこの点をしっかり踏まえることが重要です。
また、「怒る」のはNGだが「叱る」ならOKという考え方があります。
感情をぶつけるのが怒る、相手のことを思ってするのが叱るというのが一般的な解釈ですが、「叱る」こともきっぱりやめたほうがいいです。
理屈ではいかようにも論じることができますが、「怒る」も「叱る」も実際にはたいした違いがなく、受け手側の若手社員には同じようにしか伝わらないのが現実だからです。
したがって、長らく語られてきた「怒る」のではなく「叱る」という理論とも、そろそろ決別のときが訪れたと考えるべきです。
大切なのは「説明して、教える」という2つのステップです。
まず、最初のステップは、至らない点を「冷静に説明する」です。
怒らない、叱らないと言っても、若手社員のミスや失敗に目をつぶって甘やかせと言っているのではありません。できていないことはできていない、悪いことは悪いと明確に説明します。