そのようなスタンスでは、許されないから通用しないからダメなんだという否定的な考え方から1ミリも脱することができません。人を教育、指導する真理の根本から理解できなければ、若手社員を真に肯定し承認することに結びつかないのです。

「肯定と承認」が
スポーツで結果を出している

 若手への指導スタイルの変化について、最適な事例を紹介します。それはアスリートの世界です。プロアマ問わず、さまざまな競技において「肯定と承認」の効果を見ることができます。若い選手が史上最高記録を更新したり、世界の舞台で栄冠を勝ち取ったりと驚かされるばかりです。

 そのような若い選手たちの姿からは、抑圧された悲壮感は微塵も感じられません。もちろん厳しいトレーニングを積んでいることは言うまでもありませんが、自らが立てた目標に向けて能動的に突き進んでいる姿勢が表れています。

 みなさんの職場でも同様に考えて取り組むことはできるはずです。

「あれをしろ!これをやれ!」と抑圧することなく、「ダメだ!ダメだ!」と頭ごなしに否定するのではなく、まずは若手社員の頑張りや挑戦に対して肯定の言葉をかけることからはじめてみてください。そうすれば、自然と笑顔があふれる時間が増えるはずです。

 決して若手を甘やかせ、楽をさせろと言っているのではありません。いつの時代も一人前に成長するためには、試練を乗り越えることは当然必要です。そんなときこそ、まずは肯定と承認からはじめることが、社会人としての目標設定や成果を上げるための行動を能動的に芽生えさせることにつながります。

 ただし、1つだけ注意点があります。それは「肯定と承認」の意味をはき違えて、それこそ甘やかすだけ甘やかして育てられてきた若者もいるということです。

 やりたくないことは無理してやらなくていい、自分がやりたいことだけを好きなようにやりなさいと言われて育ってきたようなケースです。